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新旧お宝アルバム!#105「Waitin’ For The Sun」Rusty Young (2017)

time 2017/10/30

2017.10.30

新旧お宝アルバム #105

Waitin’ For The SunRusty Young (Blue Élan, 2017)

MLBのワールドシリーズも始まったし、ハロウィーンを目前にしていざ秋本番だ!と思っていたら先週からの台風の余波でこのところ断続的に雨続きで、せっかくの行楽シーズンなのに盛り上がらない日々が続いていますが皆様はいかがお過ごしでしょうか。

先週はお休みしてしまった今週の「新旧お宝アルバム!」は、ここに来て新旧アーティスト達の新譜ラッシュが続いている中、ぽっつりとリリースされえたアメリカン・ウェストコースト・ロックの大ベテランで、以前このコラムでもご紹介したポコのリーダーで唯一のオリジナル・メンバーであるラスティ・ヤングが今年に入って届けてくれた、この深まる秋に聴くにふさわしい珠玉の贈り物のようなプライヴェートな香りをいっぱいにたたえたアルバム『Waitin’ For The Sun』をご紹介します。

ラスティ・ヤングといえば、リッチー・フューレイ、ジム・メッシーナ(その後ロギンズ&メッシーナ)、ランディ・マイズナー(その後イーグルス)、ポール・コットン、ジョージ・グランサムと共に60年代終わりに、当時CSN&Yイーグルスなどいわゆるカントリー・ロック・バンドが台頭する中、重要なバンドの一つとしてポコを立ち上げた創立メンバーの一人。その優しい歌声と、ペダル・スティール・ギターの達人と言われた演奏力で、シーンでは以来現在に至るまでリスペクトされ続けているレジェンドの一人。

全米トップ40ファンにはポコと言えば1979年の傑作アルバム『Legend』からシングルカットされた胸を締め付けるような甘酸っぱいアコースティック・バラード「Crazy Love」(全米最高位17位)が印象に残っていると思いますが、その「Crazy Love」の作者でボーカルを取っていたのがこのラスティ・ヤングです。

そのラスティも2013年のポコの現在のところの最後のアルバム『All Fired Up』のリリースに合わせ、45年に亘るポコでの活動とツアー続きの生活からの引退を宣言、その後はポコとしてツアーにでることもなく、たまに気の置けない仲間とのライヴをやったり、自伝を執筆したりという日々を送っていたといいます。

そんな彼が突然届けてくれたこの『Waitin’ For The Sun』。何と50年に亘るキャリアのラスティに取って初のソロアルバムということになります。そしてそこで我々に聴かせてくれるのは、変わらず優しい歌声でとってもパーソナルな雰囲気のアコースティックなナンバーを中心とした、ポコを彷彿させるような珠玉の楽曲たち。それもそのはず、今回のアルバムのバックを努めるバンドは、現在のポコのメンバーであるジャック・サンドラッド(ベース、プロデューサーも努めています)、マイケル・ウェブ(キーボード)そしてリック・ロノウ(ドラムス)。それ以外にも昔からのポコの仲間達がバックで参加している、いわばポコの最新アルバム、といってもいい内容になっています。

アコギの音色に乗って始まる冒頭のタイトルナンバーは、ラスティのボーカルが入ってきた瞬間に例えようもない懐かしさと暖かさがリスナーを包んでくれる、ミディアム・テンポのポコの70年代前半の作品を思わせるもの。ラスティのボーカルは、やや震えるような感じが45年に亘る時間の経過を感じさせずにはいませんが、聞こえてくるのはあのラスティのまごう事なき優しい歌声。アコギ一本でカントリー・トラック風に始まる次の「My Friend」ではポコ創設メンバーのリッチー・フューレイと、ポコ中期のメンバーで後にイーグルスに加入したティモシー・B・シュミットがサビのボーカル・ハーモニーを付けており、ラスティが弾くドブロやバンジョーの音色が聴く者の気持ちをほっこりさせてくれるナンバーです。

https://youtu.be/n7Bzy6E0v4U

ジャグバンド風の楽曲でエレクトリックなサウンドが新鮮な「Honey Bee」ではこちらもポコ創設メンバーであるジム・メッシーナジョージ・グランサムがバックに参加、ポコの雰囲気とはまたひと味違ったサウンドを聴かせてくれます。そして続く「Sara’s Song」は自分の娘の結婚式で娘とヴァージン・ロードを一緒に歩く父親として「決心したんだ、絶対泣かないって」なんていう微笑ましい歌詞を美しいアコースティックな楽曲に乗せて歌ってくれます。ここでのラスティのボーカルはあの「Crazy Love」で聴いた純粋で美しいイメージを再現してくれていますね。

Heaven Tonight」も同じようにポコの楽曲そのままの、懐かしさと傷つきやすかった若かったあの頃を振り返る的な、そんな郷愁たっぷりの楽曲。

続く「Hey There」はちょっとサザンロックっぽい雰囲気をたたえたこのアルバムでは一番ロックっぽい曲。ピアノとアコギのアルペジオを基本トーンに、ラスティのスティール・ギターが美しくも雄弁に心に迫るメロディを奏でるインスト曲の「Seasons」を挟んで、ちょっとマイナー調のアコギストロークで始まる、後期ポコのナンバーを思わせる「Innocent Moon」も、そのタイトル通りベテランになっても未だポコデビュー当時の無垢な感じを残すラスティのボーカルの魅力が炸裂する楽曲です。

https://youtu.be/wcga0Ty0Ma4

このアルバムで最もカントリーっぽいナンバー「Down Home」あたりでラスティのボーカルがかすれて聞こえるのは彼が積み重ねた歳のせいなのか。そしてアルバムの最後はラスティのハモンドオルガンがちょっとこの間素晴らしいベストライブアルバムをリリースしたスティーヴ・ウィンウッドのナンバーを思わせる、このアルバムでも一番メインストリームロックっぽい感じの「Gonna’ Let The Rain」で一旦終わった後、まるでパーティの終りを告げるかのようなニューオーリンズ風のホーンによる演奏が最後の終演を告げるというちょっとニヤリ、としてしまうような演出もいいもんです。

聞くところによると、このアルバムのサポートでまたラスティは気の合ったバンドと一緒にアメリカ各地をツアーで回っているとのこと。ポコの頃のように全米を回り尽くすようなツアーではなく、ニューヨーク、シカゴ、ヴァージニア、ノース・キャロライナやミズーリといったいくつかの場所を回ってこのアルバムの楽曲を中心に演奏している、引退したはずのラスティ。そして来年2018年は、ポコ結成50周年ということで、記念ライヴイベントも企画され始めているとかいないとか。それを前にして、自分の初めてのソロアルバムのツアーライヴ会場での彼の楽しそうな、ゆったりとした演奏の様子が目に浮かぶような、そんな素敵なこのアルバムを我々日本のラスティ・ファンはとりあえず聴きながら彼のことを思うこととしましょう。

<チャートデータ> チャートインなし

オフ会映像

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