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新旧お宝アルバム!#164 〜2019年年末企画〜 My Best 10 Album of 2019 【完結編 – 3位〜1位】

time 2020/01/02

皆さん明けましておめでとうございます。昨年末、大晦日前にアップする予定だったこのMy Best 10 Albumsの完結編、年末年始のバタバタでやっと年が明けてアップしてます。遅くなってすいません(汗)。

さて私が選ぶ2019年ベストアルバム、いよいよトップ3です。ここまでの7枚は女性ボーカル4枚、男性ボーカル3枚とやや女性優勢で来てますが、男女の決着やいかに。

その前に11位以下20位までも一応紹介しておきましょう。

11. Two Hands – Big Thief

12. On The Line – Jenny Lewis(今年4月にこのコラムでご紹介していますのでそちらもご覧になって下さい)

13. Pony – Rex Orange County

14. I Am Easy To Find – The National

15. i, i – Bon Iver

16. Hollywoods Bleeding – Post Malone

17. Green Balloon – Tank And The Bangas

18. Free Spirit – Khalid

19. No. 6 Collaborations Project – Ed Sheeran

20. Igor – Tyler, The Creator

何ともとっちらかった感じのランキングになってしまいましたが(笑)この10枚も含めて、上位20枚はホントに今年を通じてよく聴いたし(レックス・オレンジ・カウンティなんて買ったの11月なのにそれ以来パワロテ状態ですw)、また今年から立川で毎週水曜日のDJ初めてぐっと回数の増えたDJ活動でもあちこちでかけまくったレコード達ばかり。

あともう一つ、11位のビッグ・シーフ18位のボン・イヴェールは、やはりネットで洋楽情報とコメンタリーをサンパウロから発信してる澤田太陽くんのブログを読まなければ多分年間ランキングには登場してなかった(多分ビッグ・シーフなんてアンテナにもかかんなかったかも)盤です。いずれも今の音楽シーンで、真面目に音作り、作品作りに向き合って自分の思うことを素直に表現しているミュージシャン、そういう彼らの盤に耳を向けさせてくれた澤田くんにはただただ感謝です。

さ、というわけでMy Best Album of 2019最後のカウントダウン、まず第3位から。

3. Ventura – Anderson .Paak (Aftermath Entertainment)

はい、2016年の傑作アルバム(2010年代の僕のランキングには絶対入りますね)『Malibu』に巡り会って以来というもの、本デケイドのアーティストでは多分トップ3に入るくらい気に入ってしまったアンダーソン・パークの最新作『Ventura』です。4位のヴァンパイア・ウィークエンド同様、昨年のフジロックで初めてライヴを体験して(断続的な雨の中だったけど)、レコードだけでは分からない、ドラマーらしいビートをとことん強調したパワフルなステージに大いに興奮させられたのがつい昨日のよう。

彼のクリエイティブ・パワーもここ数年全開のようで、『Malibu』の後一年も開けずにやはりケンドリック・ラマー人脈のプロデューサー、ナレッジ(本名グレン・アール・ブース)とのユニット、NxWorries(ノー・ウォリーズ)名義でこれまたタイトなアルバム『Yes Lawd』をリリース。そして自己名義でも昨年の『Oxnard』(2018)に続いてこの『Ventura』と、ほぼ毎年1枚のペースでアルバムを発表してます。

今時のシンセ打込みを基調とした浮遊感満点の音像によるヒップホップ、ファンク、R&B、ディスコが一体となったアンダーソン・パーク流の「グルーヴ・ミュージック」のクオリティは、そうした立て続けのリリースにもかかわらず一定以上をキープしていて、昨年の『Oxnard』もこの年間アルバムランキングのタイミングまでに聴きこんでいれば結構上位に入れたんじゃないか、と思うほど。ケンドリック・ラマーとコラボしたファンク・ヒップホップ・ダンスナンバーの「Tints」なんて最高で、何度もDJでプレイしました。

今回の『Ventura』は今最前線の音響派的なサウンドによるヒップホップ・ファンク・ソウル路線だった前2作とちょっとアプローチが違ってて、昔ながらのR&Bに思いっきりリスペクトと愛情を表現した作品になっているところが「おっ」と思わせるところ。

アルバムの中でラップが登場するのは、冒頭のドリーミーな「Come Home」の後半で例のアブない感じのアンドレ3000のラップが挿入されるくらいで、あとは基本全編男と女の関係を歌ったテーマとしては普遍的な楽曲を、レイラ・ハサウェイ、ジャズミン・サリヴァン、ブランディといった実力派のR&B女性シンガー達と絡みながら歌うという、アンダーソン・パークとしては多分これまでで一番伝統的なアプローチによる素敵なR&Bアルバムに仕上がってるのがまた彼の新しい面を見せてくれてていいところ。

特に個人的に大いに胸が熱くなったのは、御大スモーキー・ロビンソンとのコラボで共作もして、アンダーソン・パークスモーキーへのリスペクトがビンビンに伝わってくる「Make It Better」。最初彼はもう少し今風の情欲を前面に出した歌詞を考えてたらしいけど、スモーキーから「そらあかんで。歌詞はもっとロマンティックにいかな」と指導されて、この微笑ましくも心暖たまるRBラブソングが出来上がったらしい。いいなあ、こういう話。

今のヒップホップR&Bシーンの先端を突っ走るアンダーソン・パークもいいけど、時々こうして、立ち止まってみて、過去からのR&Bやヒップホップのレガシーにリスペクトを払ったこんな作品を作ってくれると、多分彼はずっと僕のフェイバリット・アーティストの一人であり続けるだろうな。そしてこのアルバム、今回のグラミー賞の最優秀R&Bアルバム部門にもノミネート、エラ・メイちゃんと激突してるけど、2年前『Malibu』で取れなかったグラミーをここで彼が取ってくれるといいな。

2Turn Off The News (Build The Garden) – Lukas Nelson & Promise Of The Real (Fantasy)

僕の年間アルバム2位は、あのウィリーの息子のルーカス・ネルソン率いるプロミス・オブ・ザ・リアルコンコード・レーベルからの2枚目『Turn Off The News (Build The Garden)』です。

ウィリーの息子がバンドやってて、親父とツアーとか一緒に回ってるというのは何となく知ってたけど、彼のレコードを聴いたことはこれまでありませんでした。その彼の名前がひょっと目に入ったのは、9月に買ったシェリル・クロウの新旧の有名アーティスト達と全曲共演している新作『Threads』収録の「Cross Creek Road」にニール・ヤングと共にクレジットされてたから。「やっぱオヤジと声そっくりだなあ」と当たり前のことを思いながらいろいろ調べてみると、ルーカスがあのレディ・ガガブラッドリー・クーパーの映画『アリー/スター誕生』でブラッドリーがミュージシャンらしい演技ができるようなコンサルティングをしながらサントラ収録曲の半数をガガと共作してる、ということを知りました。

折から彼のこの新譜がリリースされて、YouTubeで聴いてみたところ、まずはタイトル曲のストレートなアメリカーナ・ロック・サウンドにリフレッシュされるような魅力を感じただけでなく、歌詞を読むと、これがストレートな今のアメリカの混迷状況(そしてトランプ政権の引き起こしている数々の状況)に対して「そんな下らないニュースに一喜一憂するのはやめて、子供達のために、未来のために、僕たちのための庭を造ろう」というメッセージ。

「新旧お宝アルバム!」のブログにも9月に書きましたが、本来あるべき優しい心の人間に立ち戻って、くだらない中傷やネガティヴな争いには背を向けて、ほんとに僕らの未来に取って必要なことをやれば幸せになれる、というメッセージはシンプルだけどストレート、心にグッと迫るものがあります。

そうしたメッセージのポジティヴさと共感できる内容もさることながら、このアルバム、楽曲も演奏もさすがに長年ニール・ヤングのツアー・バンドとして実績を積んだメンバーということもあって、けれん味のないストレートで地に足の着いた素晴らしいアメリカーナ・ロック・アルバムに仕上がっていて、今年このジャンルの作品でアンテナにひっかかるものが少ない中で、自分の年間アルバムベスト20の中では唯一このアルバムだけがアメリカーナ系の作品になりました。

そのアルバムの出来とメッセージ性から、ひょっとしてグラミー賞のアメリカーナ部門、あるいは主要部門にノミネートされるのでは?と期待していたのですが、恐らくボスの作品がノミネーションを逃したのとあまり違わない理由でこの作品は残念ながらノミネートはされず。

各音楽メディアでも特に年間アルバムランキング等には入っていませんが、個人的には今年9月以降では多分最も回数聴いたであろうこのアルバム、ヴァイナル盤には7インチシングルが付いていて、そこではタイトル曲がニール・ヤングのオルガンをバックにアコースティックで演奏されていて、そのメッセージ性が一層ぐっとくる仕掛けになっています。一人でも多くの人に聴いて欲しい、そんなアルバムです。

さて、いよいよ僕の年間アルバム1位は、多分今年最初に買ったアルバムの一枚だったと思う、この作品です。

1. Heard It In A Past Life – Maggie Rogers (Debay Sounds / Capitol)

僕の選ぶ、2019年ナンバーワンアルバムは、今年メジャー・デビューを果たした、独得のメロディ感覚とエレクトロな音響センスを見事な楽曲にして届けてくれる女性シンガーソングライター、マギー・ロジャースのデビュー作『Heard It In A Past Life』です。

これもアルバムを購入して早々、昨年の2月に自分の「新旧お宝アルバム!」のブログで熱く語って、「個人的にはこの作品でマギーの来年のグラミー賞新人賞部門(ひょっとするとアルバム部門)のノミネートはかなり堅いものではないかと思うくらいです。」とコメントしたところ、さすがにアルバム部門にはノミネートされなかったものの、見事グラミー賞新人賞部門にノミネート。今年はビリーリゾが受賞、というのはわかっていてもこうやって自分が目を付けたアーティストが評価される、というのは気分のいいものです。

そのブログにも詳しく書いたので、詳細の解説はそちらをお読み頂きたいのですが、彼女のブレイク・ヒットとなり、今年1月にビルボード誌のトリプルAチャート(今はアダルト・オルタナティヴ・ポップ・チャートというらしいですが)で見事1位を獲得した「Light On」に象徴されるように、エレクトロなサウンドながら有機感の高い楽曲と、スペース感と浮遊感、スケールの大きさを感じさせるメロディを、コントラルトからジュディ・コリンズ似のメゾソプラノまでを行き来する音域のボーカルで聴かせるというのが彼女の作品の魅力です。

その時も書きましたが、サンプラーや打込みをほとんど使いながら、楽曲的にアコースティックな味わいを失わない、というのはエド・シーランハイム、さらにはヴァンパイア・ウィークエンドといった今の若い世代のクオリティ高い作品を提供するアーティスト達に共通する点。彼女の場合はそれをメインストリーム・ポップのセンスで、特徴のあるフックのメロディが書ける点が素晴らしいところです。

彼女のブレイクのきっかけとなった「Alaska」を聴いたファレル・ウィリアムスが「ぶっ飛んだよ」と絶賛したという彼女の魅力は、何と言っても彼女の楽曲を聴いて頂くのが一番ですので、まずはYouTubeで「Alaska」と「Light On」の2曲を聴いてみて下さい。

僕のリストでは15位止まりだったボン・イヴェールの作品は各音楽メディアで大絶賛で、今回もグラミーの主要部門にノミネートされたりしてますが、多分マギーがやっていることは、ジャスティン・ヴァーノンが、彼にしかできない作品の表現方法として、エレクトロサウンドと生楽器のコンビネーションとアブストラクトなアプローチで楽曲を構成していることを、ポップなアプローチでエレクトロなサウンドとフックの魅力的なメロディでやっているのであって、アプローチこそ異なりますが、恐らく同じレベルでの創造性とミュージシャンシップを発揮しているのではないか、と思っています。

先のファレルが「Alaska」に対してコメントしている動画もYouTubeで見れますので是非一度それも見て欲しいのですが、曲を聴いた後彼はただ「ワオ」と呟いた後「君は独自のものを持っていて、それをどうすれば表現できるか分かっている。君の作品のようなものは初めて聴いた」とコメントしており、マギーのそうした特性を捉まえた最大級の賛辞です。

そろそろこのアルバムリリースから一年。次のマギーの作品がどうなるのか、楽しみでしかたがありませんね。

私が選んだ2019年のアルバムベスト10、いかがでしたか?今年もいろんな素晴らしい新しい音楽に出会いながら、一方で70年代、80年代、90年代の素晴らしい作品と出会って頂けるよう、いろんなアルバムをご紹介していきたいと思っていますので、よろしくお付き合い下さい。では、皆さんよいお正月を!

オフ会映像

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