ラジオ番組企画&制作&音楽全般のプロデュースの株式会社 ヤング・スタッフ

新旧お宝アルバム!#10「Forever Charlie」Charlie Wilson

time 2015/08/09

新旧お宝アルバム #10

Forever CharlieCharlie Wilson (RCA, 2015)

先週お休みを頂いてしまった「新旧お宝アルバム!」、第10回目の今回は、「新」の順番ということで、今年1月にリリースされた、ソウルファンなら皆さんご存知の、元ギャップ・バンドのボーカル、チャーリー・“アンクル”・ウィルソンの新譜、「Forever Charlie」を取り上げます。

 

CharlieWilson_ForeverCharlieCover

R&B、ソウル、ブラコンなどなどいろいろ呼び名はあれど、ブラック・ミュージックのジャンルについてはかなり熱心でコアのファンはここ日本でも多く、主要都市には必ずコアなブラック・ミュージック・ファンが集うソウルバーがあったり、多くのブラック・ミュージック・ファンが集うDJイベントなども多く見られます。

そうしたこのジャンルのファンに根強い人気を持っているアーティストの一人がこのチャーリー・ウィルソン

80年代に「You Dropped A Bomb On Me」「Early In The Morning」「Burn Rubber On Me」「Outstanding」といったファンク・サウンドのヒット曲の数々で大きな成功を収めたギャップ・バンドのボーカリストだったチャーリーがソロ活動を開始したのは、ギャップ・バンドが事実上活動を終息した2000年。

今回の「Forever Charlie」は7枚目のソロ作になりますが、彼のソロ作はいずれもギャップ・バンド時代のファンク系ブチブチサウンドからガラッと趣を変え、メインストリームで、ダンサブルなブラコン・サウンドを中心に、聴きながら思わず体が動いてしまうような楽曲、ミディアム・スローで女性に優しく語りかけるような楽曲など、より広い範囲のリスナー向けのサウンド満載です。

といっても決してコマーシャリズムに過度に迎合しているわけではなく、かのルーサー・ヴァンドロスを彷彿とさせるような王道R&Bの矜持を保つ、チャーリーの歌の素晴らしさ(そう、この人かなり歌が上手いのです)が、彼の作品をただの安っぽいディスコ・ソングやチャートヒット狙いのオーバープロデュースの安売りソングの類からは一線を画しています。

で、今回の「Forever Charlie」。

CharlieWilson_ForeverCharlieBack

アルバム冒頭の2曲、「Somebody Loves You」「Touched By An Angel」、これを聴いただけで、ソウル・ミュージック好きなら多分間違いなくノックアウトされます。

1月リリースにも関わらず、「夏」をテーマに楽曲のアイディアが組まれたに違いないと思わせるほど、オープニングの「Somebody Loves You」はとてつもなく開放的なアップナンバー。

そして2曲めの「Touched By An Angel」は一踊りした後、ドリンクをすすりながらプールサイドか何かでくつろぐ時に聞こえてきそうな、メロディのフックがひたすら気持ちいいミディアム・スロー。いずれのナンバーでもチャーリー叔父さんの歌は冴え渡ります。

このままミディアム・スローでゴージャスなアレンジの次の「Goodnight Kisses」になだれこむアルバム前半は、サウンド的に80年代のブラック・ミュージックが一番ストレートな楽曲中心で、ダンサブルで、聴くとウキウキする雰囲気満載で、そのあたりのブラック・ミュージックが好きな向きにはたまらない出来。

毎回のお約束の他のアーティストの曲のメロディや歌詞をちょっとサンプリングしてチャーリー自身の歌で聴かせるパターンも健在。

クレジットはないですが、80年代後半に活躍したラヴァートの「Casanova」のメロディと歌詞を一瞬本歌取りした軽快な「Just Like Summertime」や、これも80年代のカール・カールトンのダンスヒット「She’s A Bad Mama Jama」のリズムリフを楽しく使った「Sugar. Honey. Ice. Tea」など、ソウルファンが「あー、これ聴いたことある!」と潜在意識を刺激して快感が湧くこと間違いなし。

CharlieWilson_ForeverCharlieInsert

また、これも毎回お約束の他アーティストのコラボですが、今回は2 曲のみ、あのラガマフィンで全米ヒットも多く持つシャギーとのコラボによるレゲエのリズムが落ち着く「Unforgettable」と、チャーリーに「アンクル」のニックネームを付けた張本人、スヌープ・ドッグとのコラボでギターのカッティング・リフがちょっとジャスティン・ティンバーレイク入っているアップナンバー「Infectious」。いずれもコラボ相手はあくまでもフレイバー付の役割に徹していて、メインで存在感を持って楽曲を支配しているのは当然チャーリー叔父さん

もう一つ今回の作品で効果的だと思うのは、80年代後半〜90年代にブラック・ミュージックシーンを席巻したジミー・ジャムテリー・ルイスの2人による作・プロデュース曲が、アルバム後半に「Hey Lover」「Things You Do」そしてクロージングの「Me & You Forever」と立て続けに登場、アルバム全体の雰囲気を微妙に変えつつ、アルバムのトータル感を整えていること。

しかもこの3曲のジャム&ルイスのプロデュースは、90年代のジャネット・ジャクソン作品などで見せたハードで派手なダンサブルな曲調ではなく、80年代後半、まだ彼らが爆発的にシーンでのし上がる前夜、S.O.S.バンドなどの作品で見せていた、やや抑えめながら静かなファンクネスを感じさせる、それでいてメロディの立った曲調に統一されているのが、マチュアでアダルトなチャーリー叔父さんの歌とこのアルバムの統一感にとても有効に働いているのです。

ここまでの記述でお分かりのように、このアルバム、80年代〜90年代にブラコン、ソウル・ミュージックにハマった経験のある方ならどなたでも十二分に楽しめる内容になっています。

チャーリーが2005年メジャーのジャイヴ・レコード(現RCA)から継続してソロ作を出すようになってからの一連の作品「Charlie, Last Name Wilson」(2005)「Uncle Charlie」(2009)「Just Charlie」(2010)「Love, Charlie」(2013)はいずれもソウルファンには楽しめる内容なのですが、今回はそのエンターテインメント・レベルがまた一段上がっているのがうれしいところ。

何と言ってもアルバム全体がポジティブなオーラに包まれているのがいい。特にこの愛する女性に対するストレートな讃歌「My Favorite Part Of You」などその極致です。

このようにソウル・ミュージックにはつきものの女性を口説くような歌や、楽しく踊って騒ごうぜ!的な内容の楽曲も多い作風の一方、90年代前半にはコカイン中毒でホームレスに見を落としながら、ギャップ・バンド時代のマネージャーの支えで見事復帰したり、2008年には自ら前立腺ガンを乗り越え、今積極的に前立腺ガン予防基金である前立腺ガン基金(Prostate Cancer Foundation)のスポークスマンとして寄付活動に熱心であるなど、人生の数々の苦労を乗り越えてきたチャーリー

彼の伸びやかで巧みな歌いまわしのテナー・ボーカルにはそうした彼の人間性も反映され、更に楽曲や歌の深みを増しているようにも思えます。

暑い夏がようやく峠を越えようとしている今日この頃、昔ブラコンが好きだったけど最近新しいのは苦手だなあ、と言うあなたも、ドリンク片手にチャーリーの最新作、素晴らしいソウルアルバムを楽しんで見てはいかがでしょうか。

<チャートデータ>

ビルボード誌全米アルバム・チャート 最高位17位(2015.2.14)

ビルボード誌全米R&B・ヒップホップ・アルバム・チャート 最高位2位(2015.2.14)

オフ会映像

ひたすら・・・歌い出しがタイトル!の全米トップ40ヒットを聴く飲み会

Facebook