佐藤直人の今週の洋楽この1曲!(第19回)
私が独断と偏見で毎週1曲ずつご紹介します。
全米TOP40を聴き続けているとだんだんチャートの記録が気になり始めていました。
私が17歳だった1977年8月27日、この曲は89位に初登場しました。もちろん当時は聞いたことのないアーティストでしたが、1970年に「A Little Bit Of Soap」でチャートデビューしてから8曲目のヒットでした。その後登場10週目の10/29に37位に入ってTOP40入りを果たします。TOP40を上がり始めるのですが、実にゆっくりで、当時は赤丸が消えるとすぐにダウンしていきますから、赤丸がとれると、ああこの曲はここ止まりか、と思いきや翌週にはまた赤丸が付いているなんて。
そうこうしているうちに30週目に7位まで上がってきました。これはすごい。もう20週間もTOP40にいますから曲も覚えています。でもこのLPは日本盤が発売されていないので買うことが出来ない。LPがほしい!早く日本盤出ないかとやきもきしていたのですが、もう我慢が出来ず、渋谷、新宿、神保町などの輸入レコード屋を日曜日になると出かけて探すのですが、売っていない。
そしてやっと原宿の輸入盤レコード店でこの曲が入っているLP『Singer Of Songs, Teller Of Tales』を見つけました。値段は忘れましたが、今のCDの価格より全然高かったと思います。後で知りましたがアルバムは最高位82位で全然ヒットしなかったんですね。ともかくそのLPを買った時はうれしかった。ジャケットがイラストで、これがポール・デイヴィスか、随分老けてるなって。でも本当は当時まだ29歳だったんです。
それでもこの曲とその次に出た「Sweet Life」が好きでLPをカセットに録音して何度もききました。LPに歌詞カードが入っていないので仲のいい友だちの寮に行って、3人で曲を聴きながら歌詞を聞き取って書くということもしてました。
最高位7位を3週間続けた後、一気に28位まで下がって、あっという間に消えると思いきやちょっと粘って5/27の99位を最後にチャートから消えました。でもその週が登場してから40週目だったのです。それまでHOT100に入った曲で40週間チャートインした曲は1曲もありませんでした。60年と62年にNo.1になったチャビー・チェッカーの「The Twist」の39週が最長記録だったのです。そうなるとこの曲の年間順位が気になります。最高位7位でHOT100=40週、年間何位になるのか、どのくらい上に出てくるか。期待を裏切らず、最高位1位のローリング・ストーンズの「Miss You」やジョン・トラヴォルタ&オリビア・ニュートンジョンの「You’re The One That I Want」を抜いて年間12位にランクされました。すごい!すごい!すごい!
この曲は後に、映画で使われて日本盤としても発売になるのですが、そんなことはこの際どうでもいい。一番悔しかったのが「Tainted Love」です。ソフト・セルの。この曲は1982年の1月に初登場して20週目にようやくTOP40入りします。なんか怪しいと思いながらも最高位8位をつけて、登場34週目には31位から86位へダウン。これであと1-2週で消えると思いきや、なんと90位台で結局9週間も粘って合計43週間チャートインしちゃったんです。90位台に落ちればどんどん消えていっているのに登場39週目でまだ97位。これで90位台は5週目。異常だ。来週消えないと40週になっちゃう。40週目まだ97位。おい、どうなっているんだ。これでタイ記録になったぞ。結局翌週も、そのまた翌週もその次も97位を続けました。HOT100登場43週。HOT100史上2曲目の登場40週以上を記録し、当時の登場週数最長記録を更新したのです。ただTOP40に上がるまでと最後の90位台が長かったので82年の年間チャートでは大して上には行かないだろうとおもっていたら、年間11位。これも抜かれてしまった。
ポール・デイヴィスはその後、「Sweet Life」(この曲も歌詞を聞き取って書き出しました)、「Cool Night」、「’65 Love Affair」などTOP40ヒットを連発しました。
ということでもうお分かりの方が多いと思いますが、今週の「佐藤直人の今週の洋楽この1曲!」は、ポール・デイヴィスの「I Go Crazy」です。
「I Go Crazy」、「Sweet Life」を収録したオリジナル・アルバム『Singer Of Songs, Teller Of Tales』です。
ベスト盤はこちらをお勧めします。
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