12/5付。今週のビルボード・アルバム・チャートから。
今週から2016年のビルボード年間チャート集計対象週になります。アルバム・チャート最初の1位はジャスティン・ビーバーの『Purpose』でした。なんと自身の過去最大のセールス374,000枚(『Believe』2012年)を大きく上回る649,000EAU(実売522,000枚)のセールスを記録しました。2014年12月からセールスの単位をEAUとしてから最大のセールスになりました。これまではドレイクの『If You’re Reading This It’s Too Late』の535,000EAUでした。実売ベースでは昨年のテイラー・スウィフト『1989』の129万枚以来のビッグ・セールスでした。これでスタジオ・アルバムは5枚連続第1位、通算6枚目の第1位となりました。UKではワン・ダイレクションに負けましたがアメリカではジャスティンが勝利です。そしてシングル・チャートでは大記録も達成しました。これは後ほど。
アルバムチャートは実売のセールスに加えて収録曲のダウンロードやストリーミング回数も加味してランキングされています。EAUは換算枚数をあらわしています。
今週のTOP10内初登場はあと7枚です。
今週はTOP10のうち8枚が初登場。これは史上4回目の出来事とのことです。その時の1位は...
2009/10/17 Love Is The Answer / Barbra Streisand
2010/12/4 The Gift / Susan Boyle
2011/5/21 21 / Adele
第2位に初登場したのはワン・ダイレクションの『Made In The A.M.』です。459,000EAU(実売402,000枚)のセールス。これまでデビューから4枚連続初登場1位でした。上位2枚が40万枚を超えているのは久しぶりで、初登場でなければ2010年1月2日付の1位スーザン・ボイル『The Gift』661,000枚。売れてましたねえ。2位がアリシア・キーズの『The ELement Of Freedom』で417,000枚でした。初登場に限ると2007年9月29日付で1位カニエ・ウエスト『Graduation』957,000枚、2位50セント『Curtis』で601,000枚とのことです。
http://item.rakuten.co.jp/americanpie/defb002412102
第3位がラッパー、ロジックの『The Incredible True Story』。1990年1月22日メイランド州ゲイザーズバーグ生まれ。昨年10月にリリースされたデビュー・アルバム『Under Pressure』は最高位4位でした。
第4位はこちらもラッパー、ジージーの『Church In These Streets』です。3位、4位ともにデフ・ジャム・レーベルのアーティスト。こちらは1977年10月12日アトランタ生まれ。2004年の時にパフ・ダディのレーベル Bad Boys と契約してラップ・グループ、ボーイズン・ダ・フッドのメンバーとなり、このデビュー・アルバムが最高位5位を記録して一気にその名前が知れ渡るようになりました。この時はヤング・ジージーという名前でした。2005年にデフ・ジャムと契約。ソロで出した『Let’s Get It: Thug Motivation 101』は最高位2位で190万枚以上のセールスを記録。この後も発売されたアルバムが1位、1位、3位、2位と不動の人気になりました。2014年の前作『Seen It All: The Autobiography』からジージーの表記になっています。
第5位がカントリー・アルバム・チャートで初登場1位のクリス・ヤング『I’m Comin’ Down』です。タイトル・ソングはカントリー・エアプレイ・チャートで2週目の第1位です。こちらでは6曲目の1位なのにアルバムは初めての1位でした。
第7位がトランス・シベリアン・オーケストラの『Letters From The Labyrinth』。3枚目のTOP10入りです。1996年に結成されたロック・バンドなんですが、クリスマスをテーマにしたアルバムをずっと発表しています。今回が8作目。メンバーは現在30人以上いるようです。これはツアー・メンバーでしょうね。ロック・アルバム・チャート初登場1位です。
第9位に初登場したのはアレシア・カラのデビュー・アルバム『Know-It-All』です。1996年7月11日カナダ・オンタリオ州ブランプトン生まれの19歳。YouTubeで人気を得てデビューしました。ファースト・シングル「Here」が今週HOT100でTOP10(第10位)に入りました。
第10位はカーク・フランクリンの『Losing My Religion』です。1970年1月26日テキサス州フォートワース生まれ。ゴスペル・アルバム・チャートでは過去に10枚のNo.1を記録しています。コンテンポラリー・ゴスペルのカリスマとして日本でも人気を博しています。
下の方ではジェフ・リンズ・ELOの『Alone In The Universe』が23位に初登場しました。2001年『Zoom』以来の新作です。過去のエレクトリック・ライト・オーケストラ同様、ジェフ・リンがプロデューサー、ソングライター、アレンジャー、リード・シンガー、ギタリストを務めています。昨年ロンドンのハイドパークでのコンサートに30年ぶりに出演し、今年のグラミー賞では「Evil Woman」の演奏からエド・シーランと「Mr. Blue Sky」をパフォーマンスしていました。
今週のラテン・アルバム・チャート初登場1位はイル・ディーヴォの『Amor & Pasion』です。ビルボード200では135位に初登場しました。スパニッシュ・バージョンのアルバムでグロリア・エステファンの「Don’t Wanna Lose You」やフリオ・イグレシアスなどのカバーを歌っています。クラシック・アルバム・チャートでは5位に初登場。こちらのチャートでは10枚目のTOP10アルバムになりました。
さて、アデル『25』ですが、金曜日(11/20)から月曜日までで243万3000枚売れたそうです。この時点で過去最高のファースト・ウィーク・セールスだったイン・シンクの『No Strings Attached』(2000年4月8日初登場第1位)の241万6000枚を抜いてしまいました。さらに今年の最高セールスのテイラー・スウィフト『1989』の176万枚も抜いて第1位です。空気が一変しましたね。1週間のセールス予測は300万枚かとも言われています。iTunesは初日に90万ダウンロードがあったそうです。UKでも3日間で538,000枚のセールスを記録。UKアルバム・チャートのファースト・ウィーク・セールスの記録はオアシスが1997年に記録した『Be Here Now』の696,000枚。2位がテイク・ザットの『Progress』(2010年)の519,000枚なのでこれは抜きました。オアシスの記録も抜くだろうといわれています。凄すぎますね。
アデル『25』が200万枚を突破したということで、週間セールスTOP20をご紹介します。100万枚を超えたのが全部で20枚とのことです。カッコ内はビルボード・チャート日ではなく、1週間のセールス集計最終日です。サウンドスキャン集計によるデータですので1991年以降が対象です。
1. 243万枚以上 Adele / 25 (2015/11/26現在)
2. 2,416,000 NSYNC / No Strings Attached (2000/3/26)
3. 1,880,000 NSYNC / Celebrity (2001/7/29)
4. 1,760,000 Eminem / The Marshall Mathers LP (2000/5/28)
5. 1,591,000 Backstreet Boys / Black & Blue (2000/11/26)
6. 1,322,000 Eminem / The Eminem Show (2002/6/2)
7. 1,319,000 Britney Spears / Oops!…I Did It Again (2000/5/21)
8. 1,287,000 Taylor Swift / 1989
9. 1,259,000 The Beatles / 1 (2000/12/24)
10. 1,208,000 Taylor Swift / Red (2012/10/28)
11. 1,141,000 50 Cent / The Massacre (2005/3/6)
12. 1,134,000 Backstreet Boys / Millennium (1999/5/23)
13. 1,108,000 Lady Gaga / Born This Way (2011/5/29)
14. 1,096,000 Usher / Confessions (2004/3/28)
15. 1,085,000 Garth Brooks / Double Live (1998/11/22)
16. 1,061,000 Whitney Houston/Soundtrack / The Bodyguard (1993/1/3)
17. 1,055,000 Limp Bizkit / Chocolate Starfish and the Hot Dog Flavored Water (2000/10/22)
18. 1,047,000 Taylor Swift / Speak Now (2010/10/31)
19. 1,022,000 Norah Jones / Feels Like Home (2004/2/15)
20. 1,006,000 Lil Wayne / Tha Carter III (2008/6/15)
アデルにすべてがかすんでしまいそうですが、ここで11/22ロス・アンゼルス・マイクロソフト・シアターで授賞式が行われた第43回アメリカン・ミュージック・アワードの結果をご紹介します。司会はジェニファー・ロペスでした。最多受賞は3部門で受賞したテイラー・スウィフトです。
ARTIST OF THE YEAR: One Direction
NEW ARTIST OF THE YEAR PRESENTED BY KOHL’S: Sam Hunt
SONG OF THE YEAR: Taylor Swift / Blank Space
COLLABORATION OF THE YEAR UN-LEASHED BY T-MOBILE: Skrillex & Diplo Featuring Justin Bieber / Where Are U Now
FAVORITE MALE ARTIST – POP/ROCK: Ed Sheeran
FAVORITE FEMALE ARTIST – POP/ROCK: Ariana Grande
FAVORITE DUO OR GROUP – POP/ROCK: One Direction
FAVORITE ALBUM – POP/ROCK: Taylor Swift / 1989
FAVORITE MALE ARTIST – COUNTRY: Luke Bryan
FAVORITE FEMALE ARTIST – COUNTRY: Carrie Underwood
FAVORITE DUO or GROUP – COUNTRY: Florida Georgia Line
FAVORITE ALBUM – COUNTRY: Florida Georgia Line / Anything Goes
FAVORITE ARTIST – RAP/HIP-HOP: Nicki Minaj
FAVORITE ALBUM – RAP/HIP-HOP: Nicki Minaj / The Pinkprint
FAVORITE MALE ARTIST – SOUL/R&B: The Weeknd
FAVORITE FEMALE ARTIST – SOUL/R&B: Rihanna
FAVORITE ALBUM – SOUL/R&B: The Weeknd / Beauty Behind the Madness
FAVORITE ARTIST – ALTERNATIVE ROCK: Fall Out Boy
FAVORITE ARTIST – ADULT CONTEMPORARY: Taylor Swift
FAVORITE ARTIST – LATIN: Enrique Iglesias
FAVORITE ARTIST – CONTEMPORARY INSPIRATIONAL: Casting Crowns
FAVORITE ARTIST – ELECTRONIC DANCE MUSIC (EDM): Calvin Harris
TOP SOUNDTRACK: Pitch Perfect 2
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12/5付。今週のビルボード・シングル・チャートから。
今週の第1位はアデルの「Hello」、4週連続第1位です。327,000ダウンロード、3470万ストリームスでデジタル・ソングス・チャート、ストリーミング・ソングス・チャートも4週連続第1位。ダウンロードは4週間で今年8番目のセールスとなる255万5000DLに達し、ストリーミングは4週連続で3000万を超えました。ストリーミングで4週連続3000万以上はあのバウアーの「Harlem Shake」(2013年)以来2曲目です。バウアーの場合は、オフィシャル・ビデオではなく、多くのファンが「Harlem Shake」を使って作ったたくさんの踊りまくりの30秒ビデオの合計ですのでアデルとはちょっと違います。ラジオ・ソングス・チャートも2週連続で第1位に輝きました。今週も3冠達成。今週はポップ・ソングス・チャート、アダルト・ポップ・ソングス・チャートでも1位になりました。
ところで、11/20にイギリスBBCで1時間の特番がありました。『Adele At The BBC』。この番組はアデルのモノマネ・コンテストなんですが、実はコンテストに参加した人の中にアデル本人が混ざっていたのです。ジェニーという名で鼻と顎に特殊メイクをして参加していました。自分の番になるまで周りの人と「緊張する、どうしよう」などと話をしていたそうですが、周りの人たちは全く気付かず。でも歌いだすとコンテストに参加した人たちはどんどん表情が変わり、泣き出す人も現れたりして。ちょっとしたパニック状態です。ドッキリは大成功だったようで。YouTubeで見られます。
さて、今週のHOT100第2位ですが、ジャスティン・ビーバーの「Sorry」が11/14の初登場以来2位に戻ってきました。また、4位には「Love Yourself」が初登場、5位には6位から「What Do You Mean?」が6位から再上昇と11/20付のUKシングル・チャートと同様、TOP5に3曲が入りました。同一アーティストのTOP5=3曲以上はビートルズ(1964年8週間=TOP5独占を含む)、50セント(2005年2週間)に次いで3組目です。
さらにジャスティン・ビーバーですがデラックス・エディションのアルバム収録曲18曲中なんと17曲がHOT100に入りました。これまで同一アーティストの同時HOT100チャートイン記録は14曲でビートルズ(1964年4月11日付)、ドレイク(2015年3月7日付、10月17日付)でしたが、それを破ってしまいました。ちなみにもう1曲の「All In You」は107位に初登場しています。また、今週はワン・ダイレクションもHOT100に7曲登場しているのですが、101位から125位までの間に8曲入っていました。
ミッシー・エリオットが久しぶりにチャートを駆けあがってきました。先週91位に初登場して今週22位にあがったのが「WTF (Where They From)」です。ファレル・ウィリアムスがフィーチャリングされています。R&Bヒップホップ・ソングス・チャートでは33位から8位にアップしました。アルバムは来年発売予定。91位からのジャンプアップ記録では3番目の記録です。
91位→16位 1999/4/3 When I Close My Eyes / Shanice
91位→19位 2008/7/12 All I Want To Do / Sugarland
91位→22位 2015/12/5 WTF (Where They From) / Missy Elliott Featuring Pharrell Williams
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