★リアーナ、気がつけばすべてのスタジオ・アルバムからNo.1ヒットを記録
★『アメリカン・アイドル』ステージ・パフォーマンスが絶賛。いきなり8位に初登場
★1位へのジャンプアップ記録更新の変遷
★最も文字数が多いNo.1アルバム誕生
★文字数が多いアルバム、シングルは?
★訃報:ジョージ・マーティン、キース・エマーソン
3/19付。今週のビルボード・シングル・チャートから。
http://item.rakuten.co.jp/americanpie/defb002466302
今週も第1位はリアーナ・フィーチャリング・ドレイクの「Work」です。これで3週連続第1位。今週もストリーミングが4440万とかなり高いレベルです。先週の集計期間途中だった2/22にオフィシャルのPVがリリースされたので、今週はそれが1週間フルに集計に寄与しました。デジタル・セールスは1位から2位へダウン、ラジオ・ソングスは5位から4位へアップしました。R&Bヒップホップ・ソングス・チャートでは5週目の第1位です。また、リアーナはスタジオ・アルバムで7枚連続でHOT100でのNo.1ヒットを記録しています。スタジオ・アルバムで7枚連続は史上初とのことです。
今週は8位になんとケリー・クラークソンの「Piece By Piece」がいきなり初登場しました。11曲目のTOP10入りです。収録アルバムの『Piece By Piece』はおよそ1年前に発売され、先々週はチャート圏外に去っていました。何があったのか。2/25に放送された『アメリカン・アイドル シーズン15』に彼女が出演し、この曲を歌ったのです。それがピアノ・バラードのバージョンで、これがすばらしいステージだったとの評判でした。それで翌日にスロー・バージョンをレコーディングして2/29にデジタル・リリースしたところ、21万ダウンロードのデジタル・セールス記録して、このチャートで35位から1位。そしてHOT100ではいきなり8位初登場となりました。「Piece By Piece」のスロー・バージョン(アイドル・バージョン)は、アルバム『Piece By Piece』の3/4にデジタル・リリースされた17曲入りデラックス・エディションと同じく3/4にデジタル・リリースされた10曲入り『Piece By Piece Remixed』に収録されています。ともにいまのところ、CDでの発売はありません。
ケリー・クラークソンといえば、デビュー曲の「A Moment Like This」が、当時それまで1位へのジャンプアップ記録だったビートルズの「Can’t Buy Me Love」(27位から1位)を破ったということを覚えていらっしゃる方もおられると思います。52位から1位への大ジャンプアップでした。そこで調べてみました。1位へのジャンプアップ記録はどのように塗り替えられてきたか。1955年11月12日にスタートしたTOP100チャートからの変遷です。
5 → 1 57-3-30 Butterfly / Andy Williams
6 → 1 57-4-20 All Shook Up / Elvis Presley
9 → 1 58-3-17 Tequila / Champs
10 → 1 58-12-22 The Chipmunk Song / Devid Seville & The Chipmunks
11 → 1 62-9-15 Sherry / Four Seasons
27 → 1 64-4-4 Can’t Buy Me Love / Beatles
52 → 1 02-10-5 A Moment Like This / Kelly Clarkson
64 → 1 07-5-12 Makes Me Wonder / Maroon 5
71 → 1 08-9-6 Whatever You Like / T.I.
80 → 1 08-10-18 Live Your Life / T.I. Featuring Rihanna
96 → 1 08-10-25 Womanizer / Britney Spears
97 → 1 09-2-7 My Life Would Suck Without You / Kelly Clarkson
2008年は3回も記録が塗り替えられたんですね。そして現在の記録もまたケリー・クラークソンでした。
ところで、1位を落ちてから、2、2、3、4、5、6、7、8位と順位を落としてきたアデルの「Hello」ですが、今週は9位ではなく11位へダウンしてしまいました。
下の方では、81位が88位からアップ、ディスターブドの「The Sound Of Silence」です。サイモン&ガーファンクルのカバーですが、今週メインストリーム・ロック・チャートで1位になりました。このチャートではアルバム『Immortalized』から3曲連続で、通算6曲目の第1位です。このチャートでのカバーでの1位は2006年の「Land Of Confusion」以来です。ジェネシスのカバーですが、この曲がディスターブドの最初の第1位でした。
95位にレディ・ガガの「Til It Happens To You」が初登場しました。ドキュメンタリー映画『ザ・ハンティング・グラウンド』のために書かれた曲です。アカデミー賞授賞式でこの曲をパフォーマンスしていました。レディ・ガガ22曲目のHOT100ヒットです。ソングライターにダイアン・ウォーレンの名前がありました。ダイアン・ウォーレンは2011年以来のHOT100入りとのことです。ダイアン・ウォーレンはHOT100で32曲のTOP10ヒットがあり、そのうち9曲がNo.1になっています。
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3/19付。今週のビルボード・アルバム・チャートから。
今週の第1位は、イギリスのマンチェスターで2002年に結成されたオルタナティヴ・ロック・バンド、1975のセカンド・アルバム『I Like It When You Sleep, For You Are So Beautiful Yet So Unaware Of It』です。2013年のデビュー・アルバム『1975』はビルボード200では最高位28位でした。4人組で幼馴染とのことです。UKではデビュー・アルバムに続いて2枚連続第1位を記録しました。
それにしても長いタイトルですね。スペースを含んで71文字。これはビルボード200チャートでのNo.1アルバムで最多文字数だそうです。これまではLLクールJの『G.O.A.T. Featuring James T. Smith: The Greatest of All Time』とヴェアリアス・アーティストの『P. Diddy & Bad Boy Present… We Invented the Remix』の59文字。反対にNo.1アルバムで最も短かったのが0文字。NASの『』(2008年)。タイトルがないのでチャート上は『Untitled』と表記されていました。邦題は『無題』でした。1文字ではビートルズの『1』、ビヨンセ『4』、フォリナー『4』、マルーン5『V』、オマリオン『O』、エド・シーラン『x』があります。No.1でなければフィオナ・アップルの1999年最高位13位のアルバム、『When The Pawn』と約されますが、正式には『When the Pawn Hits the Conflicts He Thinks Like a King What He Knows Throws the Blows When He Goes to the Fight and He’ll Win the Whole Thing ‘fore He Enters the Ring There’s No Body to Batter When Your Mind Is Your Might so When You Go Solo, You Hold Your Own Hand and Remember That Depth Is the Greatest of Heights and If You Know Where You Stand, Then You Know Where to Land and If You Fall It Won’t Matter, Cuz You’ll Know That You’re Righ』。これが一番長いのでは?もっと長いのあったかなあ。シングルではレイ・スティーヴンスの「Jereniah Peabody’s Poly Unsaturated Quick Dissolving Fast Acting Pleasant Tasting Green And Purple Pills」(61年35位)がありましたが、こちらはどうでしょうか。
ところで、1975のセカンド・アルバム『I Like It When You Sleep, For You Are So Beautiful Yet So Unaware Of It』は108,000EAU(実売98,000枚)のセールスでした。このアルバムからロック・ソングス・チャートですでに4曲ヒットしています。
アルバムチャートは実売のセールスに加えて収録曲のダウンロードやストリーミング回数も加味してランキングされています。EAUは換算枚数をあらわしています。
今週のTOP10内初登場はあと2枚です。
第4位に初登場したのが、マックルモア&ライアン・ルイスの『This Unruly Mess I’ve Made』です。大ヒット曲「Thrift Shop」から3年たちました。すでに最高位12位を記録した先行シングル「Downtown」のYouTube再生回数は1億回を突破しているそうです。
9位は1981年にニュー・ヨークで結成されたヘヴィ・メタル・バンド、アンスラックスの5年ぶり11枚目のスタジオ・アルバム『For All Kings』です。93年の『Sound of White Noise』(最高位7位)以来2枚目のTOP10入りとなりました。
ところで、HOT100ではいきなり8位に初登場したケリー・クラークソンですが、アルバム・チャートでもすごいです。先週120位に再登場して、今週は一気に第6位です。昨年3/21付で初登場1位以来のTOP10入りとなりました。アルバムに収録されている「Piece By Piece」はポップ・バージョンですが、シングルのコーナーでご紹介したアルバムが3/4にリリースされますので、しばらくTOP10近辺にいるかもしれません。TOP10への大ジャンプアップは2011年1月22日付で149位から10位へアップしたサウンドトラック『Country Strong』以来とのことです。この時は1/7に映画が全米規模での公開となって、先にリリースされていたサウンドトラックも一緒に売れました。
訃報です。先週もお伝えしましたが、プロデューサーのジョージ・マーティンが3/8亡くなりました。90歳でした。1926年1月3日ロンドン生まれ。クラシックを学びオーボエ奏者として活動後、1950年にEMIに入社。1962年にビートルズを見出し、その後の作品製作にも携わったので『5人目のビートルズ』とも呼ばれていました。他にもジェリー&ザ・ペースメーカーズ、シャーリー・バッシー、シラ・ブラックなど700枚以上の作品を製作しました。1996年にナイト爵位を授与され、99年にはロックの殿堂入りを果たしています。ビルボードHOT100ではプロデュースした23枚が1位を記録し、これは歴代1位(2位は19枚でマックス・マーティン)です。ビートルズの作品の20枚のNo.1シングルのうち「The Long And Winding Road」(プロデューサーはフィル・スペクター)以外の19枚と、アメリカの「Sister Golden Hair」、ポール・マッカートニー&スティーヴィー・ワンダーの「Ebony and Ivory」、ポール・マッカートニー&マイケル・ジャクソンの「Say Say Say」、エルトン・ジョンの「Candle in the Wind 1997」の23枚です。改めてご冥福をお祈りします。
さらにもう1人偉大なアーティストがこの世を去りました。エマーソン、レイク&パーマーのキース・エマーソンです。3/10ロス・アンゼルス近郊の自宅で亡くなりました。71歳でした。1944年11月2日イギリス、ヨークシャー生まれ。70年にエマーソン、レイク&パーマーを結成し、『エマーソン・レイク・アンド・パーマー』(70年)、『タルカス』(71年)、『恐怖の頭脳改革』(73年)と立て続けに大ヒットとなるアルバムを発表しました。『エマーソン・レイク・アンド・パーマー』では初めてシンセサイザーをロックに取り入れ、その後の多くのアーティストの作品に大きな影響を与えました。一方完璧主義者とも伝えられ、完璧な演奏ができずファンを失望されるのが怖いとも話していたそうです。来月は4日間大阪と東京でライブが決まっていました。その後に引退するつもりだったとも伝えられています。その矢先に拳銃で自ら命を絶ちました。ご冥福をお祈りします。