★ザ・ウィークエンド、18曲同時チャートイン
★ポップ・ソングス・チャート10週以上1位は?
★年間TOP10に同一アーティスト2曲登場は?
★年間チャート2年連続複数登場は?
★クリスマス・ソング5年間のTOP10
★60-10年代HOT100での女性アーティストの活躍
★ビヨンセ、4ジャンル同時ノミネートは史上初
★カントリー・アルバムTOP5に同一アーティスト3枚以上同時チャートイン
★Dollywood Foundation My People Fund
12/17付。今週のビルボード・シングル・チャートから。
今週の第1位はレイ・シュリマー・フィーチャリング・グッチ・メインの「Black Beatles」です。4週連続第1位。デジタル・セールスは83,000ダウンロードながらストリーミングが依然として高水準の4200万ストリームスということで1位をキープしています。デジタル・セールス、ストリーミングとも4週連続第1位です。ラジオ・ソングスは14位から9位と上がってきました。
第2位は3週連続3位のあと再び最高位2位に返り咲いたザ・ウィークエンドの「Starboy」です。2位は通算6週目となりました。デジタル・セールス、ストリーミング、ラジオ・ソングスすべて第2位です。今週はアルバム『Starboy』がリリースされた週の集計ということで、アルバム収録曲のストリーミングもリリースされたため、これがHOT100の集計対象になって先週チャートインしていた3曲に加え、1曲リエントリー、14曲初登場ということでザ・ウィークエンドの曲が合計18曲HOT100に同時に入りました。HOT100の同一アーティストの同時チャートイン曲数としては今年の6/4付でドレイクが記録した18曲に並び、5/21にドレイクが記録した20曲に次ぐ歴代2位の記録となりました。ほとんどがストリーミングによるポイントです。またこのうちの6曲が1週間で1000万ストリームスを超えています。
第3位はチェインスモーカーズ・フィーチャリング・ホールジーの「Closer」です。ラジオ・ソングスでは10週連続第1位となり、デュオでは最長記録となりました。また1992年10月にスタートしたポップ・ソングス・チャートでは11週連続第1位となりネリー・フィーチャリング・ティム・マックグロウの「Over And Over」(2004-05年)と並んで歴代2位タイの1位週数となりました。こちらの歴代1位は14週で1994年にエース・オブ・ベースが「The Sign」で記録しています。10週以上の1位は以下の通りです。カッコ内は初めて1位になった年です。
14週:
The Sign / Ace of Base (1994)
11週:
Closer / The Chainsmokers feat. Halsey (2016)
Over and Over / Nelly feat. Tim McGraw (2004)
Torn / Natalie Imbruglia (1998)
I Love You Always Forever / Donna Lewis (1996)
One Sweet Day / Mariah Carey & Boyz II Men (1995)
10週:
Blurred Lines / Robin Thicke feat. T.I. + Pharrell (2013)
We Belong Together / Mariah Carey (2005)
How You Remind Me / Nickelback (2001)
Bye Bye Bye / ‘N Sync (2000)
My Heart Will Go On / Celine Dion (1998)
Don’t Speak / No Doubt (1996)
I Know / Dionne Farris (1995)
そのポップ・ソングス・チャートでも10/1に1位になったのが今週16位から19位に下ったメジャー・レイザー・フィーチャリング・ジャスティン・ビーバー&ムーの「Cold Water」です。ジャスティン・ビーバー、今年の年間HOT100で1位(「Love Yourself」)と2位(「Sorry」)を占めましたね。1位、2位が同じアーティストというのはTOP100時代のエルヴィス・プレスリー(1956年)、HOT100になってからはビートルズ(1964年)、アッシャー(2004年)しかいない快挙です。
TOP10に2曲以上となるとたくさんいるのですが、エルヴィスは56年、57年と唯一2年連続で年間TOP10に2曲登場しました。また60年にも2曲登場していて、TOP10=2曲以上を3回記録した唯一のアーティストです。TOP10=3曲というのが最多ですが、エルヴィス・プレスリー(56年、TOP100)、ビー・ジーズ(78年)、エース・オブ・ベース(94年)、クリス・ブラウン(08年)が記録しました。1978年はアンディ・ギブも2曲登場していて、1978年のHOT100年間TOP10はギブ兄弟で5曲を占めたのです。今年はジャスティン・ビーバーが1位と2位、ドレイクが3位と4位、チェインスモーカーズが8位と10位ということで年間TOP10に2曲登場させたアーティストが3組いました。これは史上初です。
またアルバム・チャートの年間TOP10では、キングストン・トリオ(59、60年)、ピーター、ポール&マリー(63、64年)、ビートルズ(65、66年)、ハーブ・アルパート&ザ・ティファナ・ブラス(66、67年)が2年連続で年間TOP10に2枚以上のアルバムを登場させました。特にハーブ・アルパート&ザ・ティファナ・ブラスは66、67年に2年連続でTOP10に3枚のアルバムが登場しています。TOP10=3枚が最多記録ですが、他にバーブラ・ストライサンド(64年)、ジョン・デンバー(75年)が記録しています。また、ドナ・サーマーは同じ年に年間TOP10シングルに2枚、TOP10アルバムにも2枚登場を同時に達成した唯一のアーティストです。1979年に記録しました。
さて、クリスマス・シーズンになると登場する曲、必ずあります。HOT100のエントリー・ルールでポイントがあれば過去の曲でも登場できますのでこの曲も今年も登場しました。マライア・キャリーの「All I Want For Christmas Is You」です。23位に再登場しました。最高位は今年の1/9に記録した11位。登場週数は通算15週目です。通算ダウンロード数は320万。この曲を収録して94年にリリースされたアルバム『Merry Christmas』は全米で550万枚売れています。ビルボードではこの季節になるとホリデー100というチャートを発表しています。年末年始に6週間ぐらい発表されますがチャートは2011年にスタートしました。クリスマス・ソングをメインにかけている160のラジオ局の集計でチャートが作られています。2015年までの5年間のTOP10ソングをご紹介します。クリスマスには是非この10曲を!
10. Last Christmas / Wham! (1984)
9. It’s the Most Wonderful Time of the Year / Andy Williams (1963)
8. White Christmas / Bing Crosby (1942)
7. Christmas Eve (Sarajevo 12/24) / Trans-Siberian Orchestra (1996)
6. A Holly Jolly Christmas / Burl Ives (1964)
5. Feliz Navidad / Jose Feliciano (1970)
4. Jingle Bell Rock / Bobby Helms (1956)
3. The Christmas Song (Merry Christmas to You) / Nat King Cole (1946)
2. Rockin’ Around the Christmas Tree / Brenda Lee (1958)
1. All I Want for Christmas Is You / Mariah Carey (1994)
ビルボードが60年代から10年代までHOT100チャートでの女性アーティストの活躍の変遷を特集していましたのでご紹介します。ここでいう女性アーティストとはソロ、女性のみのグループの他に女性ソロ・アーティストによるコラボ、女性ボーカルがメインのグループが含まれます。
60年代:女性アーティストによる1位占有率22%
1位曲数:シュープリームス12曲、コニー・フランシス3曲など
1960年コニー・フランシスが女性アーティストで初のNo.1を記録。(1960/6/27 “Everybody’s Somebody’s Fool”)
シュープリームスが12曲の1位を記録。女性グループで歴代1位曲数。アメリカ人グループで歴代1位曲数。モータウン・レーベルのグループが活躍しました。
70年代:22%
1位曲数:ダイアナ・ロス、バーブラ・ストライサンド、ドナ・サマー4曲など
バーブラ・ストライサンドとドナ・サマーによる女性アーティストによるコラボで初のNo.1。(”No More Tears (Enough Is Enough)” 1979/11/24)
デビー・ブーンがHOT100史上初の10週間第1位を記録。(“You Light Up My Life” 1977/10/15-12/17)
80年代:29%
1位曲数:ホイットニー・ヒューストン、マドンナ7曲、ポーラ・アブドゥル、ブロンディ3曲など
ホイットニー・ヒューストン7曲連続第1位のビルボード記録達成。(“Saving All My Love For You” (1985) – “Where Do Broken Hearts Go” (1988))
デビー・ギブソン、女性による作詞作曲プロデュースで初の1位。(“Foolish Beat” 1988/6/25)
90年代:49%
1位曲数:マライア・キャリー14曲、ジャネット・ジャクソン6曲など
マライア・キャリー、12曲目のNo.1ヒット「Honey」で当時女性最多1位曲数だったマドンナとホイットニー・ヒューストンを抜いて史上1位に。(その後18曲まで伸ばしました。)
80年代から活躍してきたマドンナ、ホイットニー・ヒューストン、ジャネット・ジャクソンが引き続きチャートを賑わし、さらにマライア・キャリー、セリーヌ・ディオン、TLC、トニー・ブラクストンなど女性アーティストの活躍が目だちました。
00年代:40%
1位曲数:ビヨンセ、リアーナ5曲、マライア・キャリー4曲など
ケリー・クラークソンの”My Life Would Suck Without You”が97位から1位になり1位へのジャンプアップ記録を更新。(2009/2/7)
ビヨンセ、ジェニファー・ロペス、アリシア・キーズ、ネリー・ファータドなどラッパーとのコラボの1位が増えました。
さらにマドンナ、ジャネット、マライアなど15年以上のキャリアのアーティストの活躍続きました。マドンナ、ジャネットは80年代、90年代、00年代で1位を記録。
2002年アメリカン・アイドルでケリー・クラークソンが優勝。アメリカン・アイドル出身アーティストは6曲が1位を記録。そのうち4曲が女性アーティストです。
10年代:47%
1位曲数:リアーナ9曲、ケイティ・ペリー8曲、アデル、テイラー・スウィフト4曲など
ケイティ・ペリー『Teenage Dream』から5曲のNo.1ヒットを記録し、1枚のアルバムからの最多No.1ヒットを記録していたマイケル・ジャクソンの『Bad』に並びました。
2014年11月29日付でテイラー・スウィフトがそれまで1位だった彼女の「Shake It Off」に代わって「Blank Space」で1位を獲得し、女性アーティスト初の2曲連続1位独占を達成。
リアーナが合計14曲のNo.1ヒットを記録し、ビートルズ、マライア・キャリーに次いで歴代3位の1位曲数を達成。
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12/17付。今週のビルボード・アルバム・チャートから。
今週の第1位は348,000EAUと今年のファースト・ウィーク・セールスで3番目の換算枚数を記録したザ・ウィークエンドの『Starboy』です。実売は209,000枚でした。この差139,000枚相当分が収録曲のデジタル・セールスとストリーミング数をアルバム・セールスに換算した分なのですが、ストリーミングがとにかくすごかったようです。合計1億7520万ストリームスを1週間で記録して、これが11万7000枚のアルバム・セールスに換算されました。ちなみに発売第1週で今年最多セールス、104万EAUを記録したドレイクの『Views』が初登場した際には2億4510万ストリームスが1週間で記録され、16万3000枚のセールスに換算されました。
アルバムチャートは実売のセールスに加えて収録曲のダウンロードやストリーミング回数も加味してランキングされています。EAUは換算枚数をあらわしています。
今週のTOP10内初登場はザ・ウィークエンドだけです。
今年2番目のファースト・ウィーク・セールスを記録したのは653,000EAUのビヨンセ『Lemonade』です。今週は64位の入っています。第59回グラミー賞のノミネートが発表されましたが、ビヨンセは最多の9ノミネートを勝ち取りました。これで合計ノミネート回数は62となり女性アーティストでは史上最多です。去年までに20回受賞しています。すごいですね。今回は同じ年にロック、ポップ、R&B、ラップ部門でノミネート。これは史上初だそうです。過去には同じ年でなければ、ポール・マッカートニーとジャネット・ジャクソンが記録していました。アルバム『Lemonade』には「Daddy Lessons」という曲が収録されています。この曲はディクシー・チックスが今年のツアーでカバーしています。この曲を今年のCMAの授賞式でディクシー・チックスはビヨンセとコラボしました。この曲がカントリー部門でノミネートかと思われましたが、グラミー賞のカントリー委員会がこの曲のノミネートを拒否したそうです。
そのカントリーですが、今週のカントリー・アルバム・チャートでは同一アーティストが3枚同時にTOP5にチャートインするという珍事が起きました。ガース・ブルックスです。10枚目のスタジオ・アルバム『Gunslinger』がビルボード200では25位に初登場しましたが、カントリーでは4位に初登場。奥さんのトリーシャ・イヤウッドとのクリスマス・アルバム『Christmas Together』が2位(ビルボード200では14位)、ウォルマート限定で発売された『Christmas Together/Gunslinger』が5位(ビルボード200では21位)にランクインしたのです。TOP5に3枚以上のアルバムをランクインしたのはカントリー・アルバム・チャートでは4回目。ガース・ブルックスは2度目です。過去の例は以下の通りです。チャーリー・リッチは複数週記録しています。
1968/10/19 グレン・キャンベル
1位 Gentle On My Mind
2位 Bobbie Gentry & Glen Campbell
4位 By The Time I Get To Phoenix
5位 A New Place In The Sun
1974/6/27 チャーリー・リッチ
2位 There Won’t Be Anymore
3位 Behind Closed Doors
4位 Very Special Love Songs
5位 The Best Of Charlie Rich
1992/12/12 ガース・ブルックス
1位 The Chase
3位 Beyond The Season
4位 No Fences
ところで、11/29のニュースでアメリカ・テネシー州の観光地、グレート・スモーキー・マウンテンズ国立公園のそばのガトリンバーグで大規模な山火事が発生し、これまでに14人が死亡、145人以上がけがをし、ホテルなど2500棟以上が焼失しているとのことです。これに対して、ドリー・パートンが被災した家族すべてに6ヶ月間毎月1000ドルを送るため基金を設立しました。Dollywood Foundation My People Fund です。こちらにはケニー・チェズニーが50万ドル、テイラー・スウィフトが20万ドルを寄付しています。さらに12/13にはドリー・パートンのドリウッドでドリー・パートンが主催して被災者への寄付を募るためテレソンが行われました。このプログラムではすでに収録されたパフォーマンスに加えて20組のアーティストがライブ・パフォーマンスを行いました。ドリー・パートンの他に、リーバ・マッキンタイア、ケニー・ロジャース、アリソン・クラウス、シンディ・ローパー、ドン・マクリーンなどが参加したようです。12/15のニュースではこのテレソンで900万ドル近くが集まったとのことです。