７／４付。今週のビルボード・アルバム・チャートから。
アルバム・チャートの解説の前に、世界的にＣＤの発売日を統一するというニュースは前にもこのコーナーで取り上げましたが、いよいよその日が迫ってきました。アメリカでは７／１０から発売日がこれまでの火曜日から金曜日に変更されます。それに伴って、ビルボードのチャート集計期間も変更されることになりました。
これまでの集計期間は月曜日から日曜日までのデータを木曜日に、翌週土曜日付で発表していました。７／４付のチャートは６／２５に発表されましたが、この場合は６／１５から６／２１までのデータの集計でした。
これが、７／２５付からはセールスとストリーミングが金曜日から木曜日までのデータ、エアプレイは従来通り月曜日から日曜日までのデータを合算して、火曜日に、翌土曜日付として発表されます。
７／１１付、７／１８付は７／４付と同じサイクル（月曜日から日曜日）での発表なんですが、７／２５付はちょっと違います。過渡期に入るため、７／２５付だけは、セールスとストリーミングが６／２９から７／９までの１１日間、エアプレイは７／６から７／１２までの７日間のデータを使い、７／１４に発表されるのです。お気づきだと思いますが、６／２９から７／５までのデータはすでに７／１８付として発表されています。７／２５付はその部分がダブってカウントされるのですが、年間チャートなどのオールタイムの集計では当然この部分は１回だけのカウントで集計されるようです。
８／１付はセールスとストリーミングが７／１０から７／１６までとエアプレイが７／１３から７／１９までのデータを合算して７／２１に発表することになります。感覚的には２週間前のデータということになりますね。
http://item.rakuten.co.jp/americanpie/coj35380
今週の第１位はなんと、１９７０年３月１４日付で『Sweet Baby James』（最高位３位）が初チャートインしてから４５年３ヶ月で初のアルバムチャート１位となったジェームス・テイラーの『Before This World』です。９７，０００ＥＡＵ（換算枚数）のセールスでした。実売は９６，０００枚。過去最高順位は『Mu Slide Slim And The Blue Horizon』（７１年）の２位（４週間）でした。その後は７３年に『One Man Dog』、７７年『JT』、０２年『Ocotober Road』、そして０８年『Covers』がすべて最高位４位とＴＯＰ３に入れずにいましたが、遂にやりました！『Greatest Hits』も今週１４３位に再登場しました。
最近ではブラック・サバスが７０年８月に『Black Sabbath』で初チャートインしてからおよそ４３年かかって、１３年６月に『13』で初の１位を記録しました。デビューしてからＮｏ．１アルバムを出すのに最も時間がかかったのがトニー・ベネット。１９５７年２月『Tony』でデビューしてから１１年１０月に『Duet II』が１位になるまで５４年７ヶ月２週間かかりました。
ジェームス・テイラーはＴＯＰ１０＝１２枚目にして初のＮｏ．１を記録しましたが、たくさんのＴＯＰ１０アルバムを出しながらまだ１位がないアーティストがけっこういるんです。ＴＯＰ１０枚数の多い順にご紹介します。
１２枚： ラッシュ、レイ・コニフ
１０枚： スティング
９枚： ３１１、ブラッド・ペイズリー、ブルックス＆ダン、キッス、シェリル・クロウ
この中でブラッド・ペイズリーは最高位２位５枚、シェリル・クロウは４枚記録しています。
今週のＴＯＰ１０内初登場はあと３枚です。
第３位に初登場したのが、『アメリカン・アイドル』のアーティストが所属するＲＣＡからワーナー・ミュージックに移籍して最初のアルバム『The Original High』のアダム・ランバートです。２００９年のデビュー・アルバム『For Your Entertainment』が３位、『Trespassing』が１位と相変わらず強い人気を保っています。
続いて第５位に初登場したのが１９８７年生まれの２７歳、ヒラリー・ダフの『Breathe In. Breathe Out.』です。歌手としての活動の他に数多くの映画、ＴＶドラマに出演、小説も３冊発表しています。そして３歳の男の子のお母さんでもあります。このアルバムは２００７年『Dignity』（最高位３位）以来の８年ぶりのスタジオ・アルバムでそれ以来の５枚目のＴＯＰ１０アルバムとなりました。
http://item.rakuten.co.jp/americanpie/fuel549145
第７位に初登場したのがファンのリード・シンガー、ネイト・ルイスのソロ・デビュー・アルバム『Grand Romantic』です。昨年はファンのギタリスト、ジャック・アントノフがファン結成前に活動していたグループ、スティール・トレインのメンバーと結成したロック・バンド、ブリーチャーズとして『Strange Desire』（最高位１１位）をチャートに送り込んでいます。こうなると３人組ファンとしてはもう一人のアンドリュー・ドストもソロ・デビューするのでしょうか。
さて、今週も第２位の『1989』のテイター・スウィフトですが、アップル・ミュージックが３ヶ月間の無料お試し期間でもアーティスト側に使用料を払うと発表したため、『1989』を提供すると発表しました。日本でもこれからストリーミングが主流になると思いますが、何百万曲、何千万曲が定額料金で聴き放題でも、作品とリスナーを結びつける方法やきっかけがないと、リスナーはその曲が発表された年代にかかわらず、自分にとっての新しい音楽を見つけることができないでしょうね。その方法やきっかけはとても大切なことで、それが確立されれば音楽は未来永劫、伝えていくことができると思っています。
以下初登場したアルバムでは、４７位に初登場したのがティム・マックグロウの『35 Biggest Hits』です。実はこのアルバムには３６曲目にボーナストラックが入っているのですが、これがランディ・ヴァンウォーマーの大ヒット曲、ＨＯＴ１００では７９年４位、日本でも『アメリカン・モーニング』というタイトルでおなじみの『Just When I Needed You Most』のライブ・バージョンなんです。
７２位には１９７７年『From Here To Eternity』（最高位１３０位）以来３８年ぶりにアルバム・チャートに入ったジョルジオ・モロダーの『Deja Vu』が初登場です。ダンス・エレクトロニック・アルバムチャートでは初登場第１位です。ダンス・エレクトロニック・ソングス・チャートでは、シーアをフィーチャリングした「Deja Vu」、スザンヌ・ヴェガ９０年第５位のヒット「Tom’s Diner」はブリトニー・スピアーズがフィーチャリングされ、さらにカイリー・ミノーグをフィーチャリングして「Right Here, Right Now」の３曲がヒットしています。
７３位は当店ではいまだに『Don Omar Presents: Meet The Orphans』が売れ続けているドン・オマールのニュー・アルバム『The Last Don II』が初登場しました。本名ウィリアム・オマール・ランドロン。プエルト・リコ出身のレゲトンのスーパースターです。ラテン・アルバム・チャートでは初登場１位で通算５枚目の１位となりました。５枚の１位はダディ・ヤンキー、ワイジン＆ヤンデルと並んで歴代１位の枚数です。１２年前に発売された『The Last Don』はラテン・アルバム・チャートでは最高位２位（ポップでは最高位１６５位）でした。
（アルバムチャートは実売のセールスに加えて収録曲のダウンロードやストリーミング回数も加味してランキングされています。ＥＡＵは換算枚数をあらわしています。）
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７／４付。今週のビルボード・シングル・チャートから。
http://item.rakuten.co.jp/americanpie/atl548251
今週の第１位はウィズ・カリファ・フィーチャリング・チャーリー・プースの「See You Again」です。ついに１０週目の第１位となりました。ラジオ・ソングスで５週目の第１位。ストリーミングは２位変わらず、デジタル・セールスは２位から４位にダウンしました。Ｒ＆Ｂヒップホップ・ソングス、ラップ・ソングス・チャートではともに１１週連続第１位となっています。今年は今年に入ってから初めて１位になった曲がまだ３曲しかないんです。マーク・ロンソン・フィーチャリング・ブルーノ・マーズの「Uptown Funk!」が１／１７から４／１８まで（１４週）、６／６のテイラー・スウィフトの「Bad Blood」を１週はさんで、この曲が４／２５から１０週間１位なんです。この時期で３曲しかないのは９６年以来です。この時は前年から１位の「One Sweet Day」（マライア・キャリー＆ボーイズ・ＩＩ・メン）が３／１６まで１位で、セリーヌ・ディオン「Because You Loved Me」、マライア・キャリー「Always Be My Baby」、そしてボーン・サグスン・ハーモニー「Tha Crossroads」が７／６まで１位で３曲しか新しい１位がありませんでした。
また、この曲はサウンドトラックからの１位ですが、サウンドトラックからの１０週以上の１位は８曲目の快挙となりました。以下の通りです。
１４週 I Will Always Love You / Whitney Houston (1992) 『The Bodyguard』
１３週 End of the Road / Boyz II Men (1992) 『Boomerang』
１２週 Lose Yourself / Eminem (2002) 『8 Mile』
１１週 Independent Women, Part I / Destiny’s Child (2000) 『Charlie’s Angels』
１０週 You Light Up My Life / Debby Boone (1977) 『You Light Up My Life』
１０週 Low / Flo Rida feat. T-Pain (2008) 『Step Up 2: The Streets』
１０週 Happy / Pharrell Williams (2014) 『Despicable Me 2』
１０週 See You Again / Wiz Khalifa feat. Charlie Puth (2015) 『Furious 7』
９週 Theme from ‘A Summer Place’ / Percy Faith (1960) 『A Summer Place』
９週 Endless Love / Diana Ross & Lionel Richie (1981) 『Endless Love』
第２位にはこれで１位を落ちてから４週連続で２位に留まっているテイラー・スウィフトの「Bad Blood」です。今週ポップ・ソングス・チャート（Mainstream TOP40 Chart, 1992/10/3スタート)で１位になりました。登場してからたった５週で１位になったのですが、最速は４週での１位だそうです。
４週で１位：
Over and Over / Nelly feat. Tim McGraw (2004)
I’ll Be There for You / Rembrandts (1995)
Dreamlover / Mariah Carey (1993)
I Will Always Love You / Whitney Houston (1992)
５週で１位：
Bad Blood / Taylor Swift feat. Kendrick Lamar (2015)
One Sweet Day / Mariah Carey & Boyz II Men (1995)
I’ll Make Love to You / Boyz II Men (1994)
I Swear / All-4-One (1994)
All That She Wants / Ace of Base (1993)
That’s the Way Love Goes / Janet Jackson (1993)
また、この曲でポップ・ソングス・チャートで６曲目の１位となりました。１位獲得曲数では以下の通りです。、
１位 １１曲 リアーナ
２位 ９曲 ピンク
３位 ８曲 マルーン５
４位 ７曲 レディ・ガガ、ブルーノ・マーズ、ジャスティン・ティンバーレイク
７位 ６曲 テイラー・スウィフト、ビヨンセ、マライア・キャリー、ブリトニー・スピアーズ
こちらのチャートではＨＯＴ１００では最高位６位の「Style」も１位になっていて、「Shake It Off」、「Blank Space」とともにアルバム『1989』から４曲の１位を記録しました。１枚のアルバムから４曲以上の１位を記録したのは以下の通りです。
６曲 ケイティ・ペリー『Teenage Dream』(2010-12)
４曲 テイラー・スウィフト『1989』(2014-15)
４曲 レディ・ガガ『The Fame』(2009)
４曲 ジャスティン・ティンバーレイク『FutureSex/LoveSounds』 (2006-07)
マルーン５の「Sugar」ですが先々週１０位、先週１２位で今週は１９位なんですが、大記録を達成していました。初登場が１／３１で第８位でした。それから最高位２位を４週間記録して先週１２位に落ちるまで連続２１週間ＴＯＰ１０に滞在したのです。初登場以来２１週連続ＴＯＰ１０入りはニッキー・ミナージュの「Starship」(2012)と並ぶ歴代１位タイ記録でした。さらにこの曲は１位以外のＴＯＰ１０の全ポジションを記録しました。
初登場以来連続ＴＯＰ１０入り記録
２１週 Sugar / Maroon 5 (2015年最高位2位)
２１週 Starship / Nicki Minaj (12/5)
２０週 I Gotta Feeling / Black Eyed Peas (09/1)
１９週 One Sweet Day / Maria Carey & Boyz II Men (95/1)
１７週 Shake It Off / Taylor Swift (2014)
「Shake It Off」は登場１８週目で１１位に落ちたのですがその翌週にＴＯＰ１０に復帰して合計２４週間ＴＯＰ１０を記録しました。またこの曲も８位以外のＴＯＰ１０で９ポジションを記録しています。
２０位にはエド・シーランの「Thinking Out Loud」（最高位２位８週間）が入っていますが、こちらはＵＫで初登場以来５２週連続ＴＯＰ４０という大記録を作りました。最近ではファレルの「Happy」が４９週、ジョン・レジェンドの「All Of Me」が４４週連続というのがありましたが初登場から１年間毎週は初めてとのことです。なお、連続でなければ１９６９年４月から１９７１年９月まで合計７５週間ＴＯＰ４０入りを記録したフランク・シナトラの「My Way」が最長記録となっています。
４６位には最高位４５位からダウンしたカントリーの新人女性シンガー、ケルシー・バレリーニの「Love Me Like You Mean It」が入っています。１９９３年９月１２日テネシー州マスコット生まれの２１歳です。デビュー・アルバム『The First Time』はカントリーで４位、ポップで３１位を記録しています。この曲は昨年リリースされたデビュー・ソングでカントリー・エアプレイ・チャートでは３８週かかって今週見事に１位になりました。女性アーティストでデビュー・シングルがこのチャートで１位になったのは２００６年、キャリー・アンダーウッドの、カントリー・ラジオステーションがデビュー・ソングと認める「Jesus, Take The Wheel」以来とのことです。キャリー・アンダーウッドは２００５年の『アメリカン・アイドル』優勝者ですが、その際にチャートに入った２曲はカントリーでのデビュー・シングルとは認めてないそうです。また、女性アーティストでの１位も久しぶりで、デュエットではキース・アーバンとミランダ・ランバートの「We Were Us」が２０１３年１２月に１位になっていますが、ソロではやはりキャリー・アンダーウッドの「Blown Away」で２０１２年１０月以来。また３８週かけての１位は女性アーティストとして１位になるのに最も時間がかかった曲となり、これも３５週で１位になったキャリー・アンダーウッドの「Befere He Cheats」（２００７年）を抜きました。
女性アーティストのデビュー・シングル第１位
（カントリー・エアプレイ・チャート:1990/1/20スタート）
2015/7/4 Love Me Like You Mean It / Kelsea Ballerini
2006/1/21 Jesus, Take the Wheel / Carrie Underwood
2004/5/29 Redneck Woman / Gretchen Wilson
2001/9/22 What I Really Meant to Say / Cyndi Thompson
2001/2/17 There Is No Arizona / Jamie O’Neal
1996/11/23 Strawberry Wine / Deana Carter
1994/1/1 Wild One / Faith Hill
1992/4/11 She Is His Only Need / Wynonna
1991/8/3 She’s in Love With the Boy / Trisha Yearwood
最後に８４位に久々にマドンナが初登場しました。アルバム『Rebel Heart』からのサード・シングル「B**** I’m Madonna」で、ニッキー・ミナージュがフィーチャリングされています。ＨＯＴ１００の登場は、２０１２年、歴代１位となる３８曲目のＴＯＰ１０ヒットとなった「Give Me All Your Luvin’」（最高位１０位）以来です。今回のビデオにはビヨンセ、マイリー・サイラス、ケイティ・ペリー、カニエ・ウエスト、ニッキー・ミナージュ、ディプロ、リタ・オラなど超豪華メンバーが参加しています。すでに歴代１位の４５曲のＮｏ．１を記録しているダンス・クラブプレイ・チャートでは２６位に初登場しました。ＨＯＴ１００には５７曲目のエントリーとなり、女性アーティストでは歴代４位です、なお、ニッキー・ミナージュは６３曲目の登場で歴代３位となっています。
ＨＯＴ１００登場曲数：女性アーティスト
１位 ７３曲 Aretha Franklin
２位 ６９曲 Taylor Swift
３位 ６３曲 Nicki Minaj
４位 ５７曲 Madonna
５位 ５６曲 Dionne Warwick
６位 ５３曲 Connie Francis
７位 ４９曲 Rihanna
８位 ４８曲 Brenda Lee
９位 ４７曲 Mariah Carey
１０位 ４３曲 Miley Cyrus
なお、マドンナは来年３月に１９９３年以来２３年ぶりのオーストラリア、ニュー・ジーランドでの合計８回のコンサートが決まりました。アルバム『Rebel Heart』はオーストラリアで１１枚目のＮｏ．１になっております。これはＵ２と並んでオーストラリアでは歴代１位タイなんです。
http://item.rakuten.co.jp/americanpie/ci303207
最後に今週で１００週連続チャートインの曲をご紹介します。といってもラテン・ソングス・チャートでの記録です。曲名は「Propuesta Indecente」というタイトルで２０１３年８月１０日に４４位に初登場しました。翌週３位になってから１週だけＴＯＰ５から下がりましたが、今週も第２位にランクされています。登場週数１００週のうち、ＴＯＰ１０＝９９週、ＴＯＰ５＝９８週なんです。最高位は２０１３年９月の第１位（４週間）。現在はポイントの８９％がストリーミングによるもので、全世界でこの曲は７億１５００万回の再生が記録されています。２０１４年３月からラテン・アルバム・チャートでは１１週間第１位を記録した『Formula Vol.2』からのファースト・シングルでした。ＨＯＴ１００では最高位７９位を記録しています。アーティストはロメオ・サントス。ちなみにこのチャートでの登場週数歴代２位は６２週間でプリンス・ロイスの「Incondicional」とのことです。
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