1/12付。今週の全米アルバムチャートから。

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今週の第1位は、テイラー・スウィフト『Red』。7週目の第1位となりテイラー・スウィフトのすべてのアルバムの合計1位獲得週数が24週となりました。これは1991年5月1日からスタートしたサウンドスキャン集計で
女性ソロアーティストの歴代1位タイです。もう一人はアデルで、アデルはアルバム『21』だけで24週間の1位を
記録しています。1/12付は集計期間が12/30までの1週間でした。テイラー・スウィフト『Red』は
12/24に1日だけアマゾンMP3で1ドル99セントでのセールスがあり、これだけで7万枚売れたそうです。
1週間合計では24万1000枚のセールスでした。

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第2位は今話題の映画『レ・ミゼラブル』のサウンドトラック『Les Miserables: Highlights From The Motion
Picture Soundtrack』が33位から急上昇。12/25に映画が公開されて136,000枚のセールスを
記録しました。『レ・ミゼラブル』はブロードウェイ・ミュージカルでは1987年から2003年まで6680回
公演されました。これは歴代4位となる公演回数とのことです。

『Red』同様、この週はスペシャル・セールスを行ったアルバムが軒並み順位を上げました。
6位にはイマジン・ドラゴンズの『Night Visions』が46位からアップ。7位は19位からリアーナの
『Unapologetic』がアップ。9位はルミニアーズの『The Lumineers』が24位からアップして最高位を
更新しました。10位は先週45位に再登場したサウンドトラック『Pitch Perfect』がDVDの発売もあって
急上昇しています。

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今週は1月第1週から12月最終週までのアルバム、シングルのセールスが発表されています。

まずはUKから。CDアルバムは前年比-19.5%の6940万枚(2008年:1億2300万枚)。
デジタル・アルバムは+14.8%の3050万枚(同1030万枚)。LPなどを加えた全体のアルバム・セールスでは
前年比-11.2%の1億50万枚(1億3360万枚)でした。( )内の数字は2008年の枚数です。

シングルは、99.6%がデジタル・セールスですが、前年比+6%の1億8860万枚(1億980万枚)でした。
(CDシングルは2008年410万枚→2012年61万枚です。)50万ダウンロード以上の作品が20曲ありました。
アルバム、シングルのセールス年間TOP10は以下のとおりです。

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アルバム:
1位 Our Version Of Events / Emeli Sande
2位 21 / Adele
3位 + / Ed Sheeran
4位 Born To Die / Lana Del Rey
5位 Up All Night / One Direction
6位 Babel / Mumford & Sons
7位 Right Place Right Time / Olly Murs
8位 Christmas / Michael Buble
9位 Mylo Xyloto / Coldplay
10位 Unapologetic / Rihanna

シングル:
1位 Somebody That I Used To Know / Gotye Featuring Kimbra
2位 Call Me Maybe / Carly Rae Jepsen
3位 We Are Young / fun. Featuring Janelle Monae
4位 Titanium / David Guetta Featuring Sia
5位 Impossible / James Arthur
6位 Gangnam Style / PSY
7位 Starships / Nicki Minaj
8位 Domino / Jessie J
9位 Payphone / Maroon 5 Featuring Wiz Khalifa
10位 Wild Ones / Flo Rida Featuring Sia

ビルボードの年間チャートの集計期間(2011年12月第1週~2012年11月最終週)とは1ヶ月ずれていますが、
シングルTOP3は一緒でした。

アメリカでも状況は一緒です。CDアルバムは-13%、デジタルが+14%(1億1768万枚)で
アルバム・セールス合計は-4%の3億1596万枚でした。セールスに占めるデジタルの比率は2011年の
31%から37%へと過去最高になっています。シングルはほとんどがダウンロードによるセールスですが、
前年比+5%の13億3600万トラックスでした。それでは上位10作品をご紹介します。

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アルバム:
1位 441万枚 21 / Adele
2位 311万  Red / Taylor Swift
3位 162万  Up All Night / One Direction
4位 146万  Babel / Mumford & Sons
5位 134万  Take Me Home / One Direction
6位 134万  Believe / Justin Bieber
7位 120万  Blown Away / Carrie Underwood
8位 110万  Tailgates & Tanlines / Luke Bryan
9位 107万  Tuskegee / Lionel Richie
10位 102万  Night Train / Jason Aldean

アデル『21』は2011年に582万枚を売り上げていて合計で1023万枚です。サウンドスキャン集計では
21枚目の1000万枚突破のアルバムとなりました。テイラー・スウィフトは2011年を除いて2008年から
5年間で4回目のTOP3入りとなりました。ワン・ダイレクションはTOP5に2枚入っていますが、その年に
リリースされたアルバムが年間TOP5に2枚入ったのは初めてです。ジャスティン・ビーバーは2010年から
3年連続TOP10入り。また、カントリー・アルバム(2位、7-10位)がTOP10のうち5枚入ったのも
初めてでした。記録はサウンドスキャン集計となった1991年以降のものです。

シングル:
1位 680万DL Somebody That I Used to Know / Gotye Featuring Kimbra
2位 647万   Call Me Maybe / Carly Rae Jepsen
3位 595万   We Are Young / fun. Featuring Janelle Monae
4位 476万   Payphone / Maroon 5 Featuring Wiz Khalifa
5位 398万   Starships / Nicki Minaj
6位 389万   What Makes You Beautiful / One Direction
7位 384万   Some Nights / Fun.
8位 382万   Stronger (What Doesn’t Kill You) / Kelly Clarkson
9位 359万   Gangnam Style / PSY
10位 346万   One More Night / Maroon 5

昨年は500万以上が史上初めて2曲出た!というニュースでしたが今年は3曲。しかもそのうち2曲は600万超です。
100万ダウンロード以上が108曲(2011年は112曲)、200万以上が41曲(2011年38曲)でした。

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1/12付。今週の全米シングルチャートから。

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今週も第1位はブルーノ・マーズの「Locked Out Of Heaven」。4週連続第1位です。今週はデジタル・セールスの
大記録が誕生しました。この週はクリスマスを含む12/30までの1週間の集計で、クリスマス・プレゼントとして
ダウンロード・カードがたくさん売れたようで、それを使ってのダウンロードが大量に行われた結果、1週間の
ダウンロード曲数が5574万というこれまでの記録を大幅に上回る記録を作りました。これまではやはり
クリスマスを含んだ2008年の12/28までの1週間の4773万DLでした。ちなみに先週12/23までの
1週間は2550万DLでした。

これを曲別で見ると、今週は10万ダウンロード以上が48曲(先週は10曲)もありました。今週HOT100
第1位のブルーノ・マーズ「Locked Out Of Heaven」は前週比+120%の497,000ダウンロード。
でもデジタル・ソングス・チャートでは第2位です。これを上回ったのがHOT100では2位のテイラー・スウィフトの
「I Knew You Were Trouble」。前週比+163%の582,000DL。これはウィークリー・デジタル・セールスの
記録としては歴代4位です。ファースト・ウィークを除いた記録にすると歴代2位。以下のとおりです。

1位 636,000 2009/2/28 Right Round / Flo Rida
2位 623,000 2012/9/1 We Are Never Ever Getting Back Together / Taylor Swift
3位 610,000 2010/1/2 Tik Tok / Ke$ha
4位 582,000 2013/1/12 I Knew You Were Trouble / Taylor Swift

このうち1位と2位はデジタル・セールスでのファースト・ウィークに記録しました。テイラー、デジタルでは
1位ですが、エアプレイでは先週の11位から今週は12位、オンデマンドはまだないためチャートに入っていません。
そのため1位のブルーノ・マーズには1万ポイント以上離れているそうです。

今週はラジオ局でイヤー・エンド・プログラムが多かったので2012年にヒットした曲が改めてオンエアが伸びて
HOT100でも反発しました。PSYの「Gangnam Style」が19位から6位、テイラー・スウィフトの
「We Are Never Ever Getting Back Together」が29位から17位、カーリー・レイ・ジェプセンの
「Call Me Maybe」は43位→27位、ワン・ダイレクションの「Live While We’re Young」が74位→43位など。
そんな中でゴティエ・フィーチャリング・キンブラの「Somebody That I Used To Know」は前週の49位から
今週は48位。大して伸びませんでしたが、これで登場52週目となり、5曲目のワン・イヤー・ステイ・
No.1ソングとなりました。

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ところで、今週17位に戻ったテイラー・スウィフトの「We Are Never Ever Getting Back Together」ですが、
この曲カントリー・ソングス・チャートでもアップして1位に戻りました。これで通算10週目の1位ですが、
このチャートでの2桁週の1位は実に49年ぶり。すでに女性ソロ・アーティストの曲としては1位最長記録を
更新中ですが、この曲の前の2桁週1位の曲は1963/10/19付から1964/2/1まで16週間1位を
続けたバック・オーウェンズの「Love’s Gonna Live Here」です。なお、カントリー・ソングス・チャートの記録は
1944年までさかのぼることができますが、1944年から1963年のこの曲までは毎年2桁週1位の曲が
誕生していました。

カントリーといえば1/1に、「テネシー・ワルツ」の大ヒットで日本でも有名なパティ・ペイジが
カリフォルニア州サンディエゴ近郊の療養施設で亡くなりました。85歳でした。

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パティ・ペイジは全世界で1億枚以上のレコード・セールスを記録しています。HOT100以前のビルボードの
チャートも含めてNo.1=4曲を含むTOP10ヒット24曲を記録。80曲がポップ・チャートにエントリー
しました。1927年11月8日オクラホマ州クララ・アン・フォーラー生まれ。その後タルサに家族11人で
移住し10代の頃は地元のラジオ局で働きました。やがてローカル・シンガーとなり15分のラジオ番組を持てる
ようになり、その番組のスポンサーがペイジ・ミルクだったことからパティ・ペイジと名乗るようになりました。
バンド・リーダーのジャック・ラエルに認められ、彼自らパティのマネージャーとなりました。

その後1948年に「Confess」がエアプレイチャート12位のヒットとなりチャート・デビューします。
この曲はパティ自身が4パートを歌って多重録音をしています。その後もヒットをとばし、曲の作者でもある
ピー・ウィー・キングが歌って1948年にヒットした「The Tennessee Waltz」をカバーして、1950年に
13週間1位を記録。1000万枚を売り上げ、当時ビング・クロスビーの「White Christmas」に次ぐ
シングル・セールスとなりました。この曲は「Boogie Woogie Santa Claus」のB面として発売され、
当初は見向きもされなかったそうです。

「The Tennessee Waltz」は世界的なヒットとなり多くのカバーも誕生しました。日本では1952年に
当時14歳だった江利チエミがこの曲でデビューを飾っています。ちなみにそのシングルのB面はローズマリー・
クルーニーのNo.1ソング「Come On-A My House」邦題:カモナマイハウス(家へおいでよ)でした。
「The Tennessee Waltz」はアメリカの多くの国民に歌い継がれ1965年にはテネシー州の正式な州歌になっています。

ポップ・チャートでは1968年の「Little Green Apples」(最高位96位、その後100位以下では
70年に「I Wish I Had A Mommy Like You」114位のヒットがあります。)、カントリー・チャートでは
82年の「My Man Friday」(80位)が最後のヒットとなりました。最近では、「The Tennessee Waltz」の
セルフ・カバーを含む『Best Country Songs』というアルバム(すでに廃盤)を2008年に発表したり、
ラジオ番組『Music of Your Life』のパーソナリティを務めました。ご冥福をお祈りします。