さていよいよ2020年も最後の週に突入、皆さんもコロナ禍でいろいろ大変だった2020年を後に2021年を迎えるべく準備されていることと思います。この特別企画その2も、いよいよビルボード誌2020年年間チャート予想カウントダウンのトップ10になりました。ではいきましょう、まず10位から。
10. The Bones ▲3 – Maren Morris
(Hot 100 – 43週、Top 40 – 38週/2020.4.18付 最高位12位)
さていよいよ年間予想トップ10の第10位は、今年のCMA(カントリー・ミュージック・アソシエーション)アウォードで最優秀ソング部門を受賞した、名実ともに2020年を代表するマレン・モリスのカントリー・ポップ・ソング「The Bones」です。この曲の歌詞の内容とか、この曲を書いたソングライター・チームのマレン、ジミー・ロビンズ、ローラ・ヴェルツの3人についてとかは、この間のグラミー賞ノミネーション予想の記事で詳細に書いちゃってるので、そちらをご覧下さい。
グラミー主要部門にはノミネートされなかったとはいえ、これほどの今年を代表する印象の強い曲が最高位12位というのも意外ですね。それというのも、トップ40に38週ステイという、今年の年間チャート対象曲中トップ10ヒット以外では圧倒的な最長記録をマークしたから。もっともカントリー・チャートでは堂々19週1位の大ヒット曲なので、当然といえば当然、今回も主要部門からは無視されましたが、しっかり最優秀カントリー・ソング部門にはノミネートされてますし、ノミニーの顔ぶれを見る限り、ここはマレンががっちり受賞しそうです。
ちなみにこちらのビルボード誌年間チャートの順位は9位。おお何と1位違いとやはりこの曲についての今年のチャート上の評価はゆるぎないようです。
9. Whats Poppin ▲3 – Jack Harlow Featuring DaBaby, Tory Lanez & Lil Wayne
(Hot 100 – 41週、Top 40 – 32週、Top 10 – 13週、Top 5 – 8週/2020.7.11 &8/1付 最高位2位)
さて、今年こつ然と現れた、ケンタッキー州ルイヴィル出身の新世代のホワイト・ラッパー、若干22歳のジャック・ハーロウ。でもちっとも「こつ然」ではなくて、彼は高校時代時代から地元のクラブで満員の観客を相手にギグをこなしていて、既にかなりシーンでは実績を重ねてきているらしい。この曲(1月にオリジナル・バージョンをリリース、6月にジャックで始まり、ダ・ベイビー、トーリー・レインズ、リル・ウェインの順番にマイクを回すリミックスをドロップしてこいつで2位まで急上昇した)も基本単調なトラップのトラックをベースにしていながら、完璧にジャックのフロウの巧さだけで聞かせる、ジャックのラッパーとしてのスキルが全開の曲で、とにかく聴いてて気持ちがいい。しかもビデオに登場するジャックはとにかくフツーのそこらの白人の男の子で、その彼がこんなスキルフルなラップをかますのか!というギャップも受けてる要因の一つなのかも。
思えばエミネムが出てきた時は、ホワイト・ラッパーは特異な存在っていう感じあったし、黒人ラッパーたちと張り合うために血管ブチ切れそうなくらいのテンションと特異性をガンガンに出さないとまともに評価されない、って感じがあったんだけど、このジャックなんて飄々と自分のスタイルとペースでやってるのが時代の変化を感じるというか。今回のグラミーでも最優秀ラップ・パフォーマンス部門で唯一ノミネートされてて、結構競争激しいカテゴリーなんで受賞は難しそうだけど、このレベルのパフォーマンスでブレイクしてるのに、新人賞部門にノミネートされてないのが不思議なところですね。ところでこの曲のビルボード誌年間チャートの順位は13位でした。
8. I Hope ▲3 – Gabby Barrett Featuring Charlie Puth
(Hot 100 – 47週、Top 40 – 36週、Top 10 – 10週、Top 5 – 3週/2020.11.21付 最高位3位)
ギャビー・バレットのこの曲も、もう上述のグラミー賞ノミネーション予想のnoteの記事でさんざん書いたので、もうあんまり書くこともないんだけど、やっぱりどう考えてもこの曲、このアーティストが主要4部門(僕はSOY、新人部門のノミネーションは確実と予想しました)どころか、カントリー部門でもガン無視されたのは理不尽の一言だと思うなあ。だってこの曲、今週もカントリー・ソング・チャートの3回目の1位を独走中で、とっくにマレン・モリスの「The Bones」の19週1位を抜き去っちゃったんですから!
アメリカン・アイドルでも上位に残ったくらい実力もあるし、曲自体もちょっとひねりの効いた男女関係を歌った秀逸な曲だと思うんだけど。個人的には聴いたこともない訳のわからんノミニーが多い今年の新人賞部門には少なくとも圧倒的にノミネーションされてしかるべきだと思うなあ。ちなみにこの曲のビルボード誌年間チャートの順位は13位でした。でもこの曲、やっぱ2020年を代表する曲だからトップ10で然るべきだと思うな、うん。
7. Life Is Good ▲7 – Future Featuring Drake
(Hot 100 – 38週、Top 40 – 37週、Top 10 – 17週、Top 5 – 12週/2020.1.25-3.14付 8週2位)
今年のドレイクは5月にミックステープ『Dark Lane Demo Tape』をドロップしただけだったんだけど、そのミックステープも堂々初登場2位だったし(余裕で1位だと思ったんですが、僅差でケニー・チェズニーの『Here And Now』に1位を攫われてました)そこに収録の先行シングル「Toosie Slide」(年間チャートでは32位、自分の予想は36位でした)も貫禄のHot 100初登場1位と、活動レベルは地味でも結果はしっかり出している、という優秀な営業マンのような(笑)パフォーマンスを見せてましたね。
そのドレークの今年はソロよりも、これまでも多数やってる他アーティストとのコラボ・シングルでの活動が目立ったんですが(DJカレドなんてドレイクを使い倒して2曲も同時トップ10ヒットを放つという相変わらずあざとい商売してましたねw)、その中でも最大のヒットになったのが、このフューチャーとの豪華なコラボによる「Life Is Good」。フューチャーの7枚目の初登場1位アルバムになった『High Off Life』からのカットで、前半のドレイクのほとんど歌ってるようなヴァースと、後半のいかにもフューチャーらしいどトラップなドスコイなヴァースとの対比がなかなか新鮮で印象に残るトラックでしたね。また、PVでも自分たちのこの曲のPVを自分たち自身が撮影スタッフで撮ってる、っていう遊び心満点の趣向がいい感じで、特にPV監督にコキ使われながら「わかったよ、あんたがボスだから」とサラリーマンっぽく演技するドレイクには結構笑わしてもらいました。
最後にチャート・トリビアを一つ。今回この「Life Is Good」は初登場の週から8週連続2位という、Hot 100の歴史に前例のない高順位での連続週数記録を樹立したんですが、単純に最高位2位での連続週数記録でも歴代5位、10曲目という記録を樹立してます。その具体的なリストと順位は下記の通り。なかなかトップ40ファンには懐かしい曲が並んでますね。
1. (10 wks) Waiting For A Girl Like You ▲ – Foreigner (11.28.1981-1.30.1982)
1. (10 wks) Work It ▲ – Missy “Misdemeanor” Elliott (11.16.2002-1.18.2003)
3. (9 wks) I Love You Always Forever ● – Donna Lewis (1996.8.24-10.19)
3. (9 wks) You’re Still The One ▲2 – Shania Twain (1998.5.2 & 6.20-8.8)
5. (8 wks) If I Ever Fall In Love ▲ーShai (1992.11.21 & 12.5-19 & 1993.1.16-2.6)
5. (8 wks) Nobody’s Supposed To Be Here ▲ – Deborah Cox (1998.12.5-1999.1.23)
5. (8 wks) Back At One ● – Brian McKnight (1999.11.20-2000.1.8)
5. (8 wks) I Don’t Wanna Know ● – Mario Winans Featuring Enya & P. Diddy (2004.4.24-6.12)
5. (8 wks) Thinking Out Loud ▲12 – Ed Sheeran (2015.1.31-3.21)
5. (8 wks) Life Is Good ▲7 – Future Featuring Drake (2020.1.25-3.14)
ちなみにこの曲のビルボード誌年間7位で、自分の予想的中。なかなか気分いいです(笑)。
6. Rockstar – DaBaby Featuring Roddy Ricch
(Hot 100 – 31週、Top 40 – 31週、Top 10 – 26週、Top 5 – 18週/2020.6.13-20 & 7.4-8.1付 7週1位)
去年ブレイクした、ダベイビーことジョナサン・リンデイル・カークも、去年から今年にかけては絶好調。今回のグラミー賞の対象期間中の去年9月末リリースの『Kirk』と今年4月リリースの『Blame It On Baby』の2枚の全米No.1アルバムを放ってて、この7週1位の「Rockstar」の大ヒットもあり、この間のグラミー賞ノミネートでもこの曲がROY部門のノミネートをゲットしてました。しかしヒップホップに興味のないトップ40リスナーにとっては、最近リル何とかだけでなく、リルベイビーとかこのダベイビーとか、何とかベイビーっていうラッパーもいろいろいて、何かよう判らんぞ(笑)というのが正直なところかも知れません。
ただ最近の何とかベイビーの連中、「The Bigger Picture」が絶対ROY、SOYにノミネートされると思っていた(実際は最優秀ラップ・パフォーマンス部門と最優秀ラップ・ソング部門のみのノミネート)リル・ベイビーにしてもこのダベイビーにしても、改めて聴くとかなりしっかりしたスキルで、それぞれちょっとオールドスクールな味のあるフロウ(ダベイビーとかはバスタ・ライムスの雰囲気あるね)の、実は実力派なんですよね。そして新人なのに鋭いフロウをかませるロディ・リッチをフィーチャーしてるこの曲、ヒップホップキッズにウケるのは分かるなあ。
そしてリルベイビーの「The Bigger Picture」に対抗してというか時を同じくして、この「Rockstar」が1位になった6/13付の次の週に「ブラック・ライヴス・マター・リミックス」をリリース(同じ6/20リリース)、オリジナルにダベイビー(ジョージ・フロイドと同じ体勢でBLMバージョンのPVでラップしてます)とロディがそれぞれ警官に暴力的威圧的な取扱を受けた経験をテンションマックスでアジるようなフロウを追加したバージョンで、これが合計7週も1位を記録するのに大いに貢献したのは間違いないところ。もともと銃にでも頼らないと生きていけない、そしてコーダイン(風邪薬だが安くトリップできるドラッグ代用薬として摂取されている)でラリってる奴らばかり、といったダウナーなリリックの曲だったけど、このBLMヴァースの追加でこの曲のソング・パワーというか、インパクトが一気に増幅したんですね。UKでも同時期に通算6週1位を記録したこの曲、ビルボード誌の年間チャートでは5位、惜しくも自分の6位予想とは1位違いですが、この惜しさは次の年間予想5位の曲で更に悔しさを増すんですが、その理由はまたこのあとで。
さていよいよトップ5。ここからは、自分の予想順位とビルボードの実際の年間チャート順位(BBxx位、というふうに)を併記しますね。
5. (BB6位)Adore You ▲2 – Harry Styles
(Hot 100 – 50週、Top 40 – 47週、Top 10 – 7週/2019.12.28付 最高位4位)
はい、トップ20内2回目の登場、しかもいずれもソロクレジットでの登場はこの人、ハリー・スタイルズだけ。そしてこれも予想と結果が1位違い。っていうか、Part 3見てもらうと判るけど、自分の予想と結果は5位と6位が見事に入れ替わってました。惜しいなあ。
この曲は「Watermelon Sugar」とはちょっと雰囲気が異なり、ちょっとThe 1975あたりとも通じるエレクトロ・ブルーアイド・ソウル的なグルーヴを持つなかなかゴキゲンなナンバーですが、1位まで昇り詰めた「Watermelon Sugar」に対して最高位6位にして、年間5位(ビルボードは6位)と強力なのは、Hot 100に50週チャートインという、今年の年間チャート対象曲では2番目の長期滞在曲だったってのが大きい(1番がどの曲だったのかもうすぐ判ります)。そんなこんなでアルバム『Fine Line』同様、音楽メディアからも評判よかったんですが、今回のグラミーでは主要4部門には残念ながらノミネートされず、この曲はビデオ部門でのノミネートのみ。最優秀ポップ・ソロ・パフォーマンス部門では「Watermelon Sugar」の方がノミネートされてました。こういうコンテンポラリーなよくできたポップ・ナンバー、もっと評価されて欲しいんですけどねえ。
4. (BB4位)Don’t Start Now ▲3 – Dua Lipa
(Hot 100 – 49週、Top 40 – 45週、Top 10 – 20週、Top 5 – 10週/2020.3.21付 最高位2位)
はい、この4位は予想見事的中。一昨年のグラミー賞新人賞部門を並み居る実力者達を押しのけて受賞したデュア・リパ、それ以来というもの何だか向かうところ敵無しの雰囲気や、あたかも今を代表するポップ・クイーン!みたいなオーラを漂わせていて、実際英米でも人気あるし(新作『Future Nostalgia』は全米4位、全英堂々の1位)、マドンナの再来、みたいなことを言ってる音楽メディアもあったりするんだけど、果たしてそうなんでしょうか。この曲も、英米両方で2位まで昇る大ヒットになってて年間チャートでも堂々4位と、2020年を代表するヒット曲の一つであることは間違いないけど、なーんかこの子の曲って、新鮮味というかワクワク感みたいなものを感じないんですよね、個人的には。この曲の楽曲構成も、何か70年代後半のフロアダンクラナンバーっぽい感じの既聴感が半端ないし。まあでも裏返せば広く受け入れられやすいというのはあるかも。まあルックスもクールな美人で、こういう曲やってるとかなり絵になりますしね。でもなあ、今回のグラミー賞でも『Future Nostalgia』が最優秀アルバム部門ノミネート、ってのはかなり?マークが飛んじゃってます。まあいいや。とっとと次に行きましょう。いよいよトップ3!
3. (BB3位)The Box ▲7 – Roddy Ricch
(Hot 100 – 38週、Top 40 – 33週、Top 10 – 25週、Top 5 – 19週/2020.1.18-3.28付 11週1位)
おお、これも予想順位大的中。しかもこの曲、11週1位と2020年で最も長期間1位にいた曲なのにこの年間3位という意外性のあたりもバッチリ当ててるあたりが偉いなあ、自分(自画自賛)。いやそれくらいこの曲は、デビューアルバム『Please Excuse Me For Being Antisocial』の1位快進撃(Billboard 200で、昨年12月から今年2月にかけて4回に分けて1週ずつ、計4週1位を記録)と並行して、今年の第1四半期(つまりコロナが深刻化する前ですね)のHot 100の1位をほぼ独占していたくらい、圧倒的なヒットだったので、当然年間1位を予想したトップ40ファンも多かったと思いますし、それも無理ならず、といったところです。ただ惜しむらくはHot 100には僅か38週と、21世紀のナンバーワンヒットとしてはビックリするくらいのロングヒットではなかったのと、何よりもこの後に登場する2曲がとにかくロングヒットという意味では遙かに圧倒的だった、ということなんですよね。
昨年のグラミー授賞式でも故ニプシー・ハッスル・トリビュートのセクションで、ミーク・ミルらと堂々たる共演を果たして、自らもそのニプシーの「Racks In The Middle」にフィーチャーされて初のグラミー受賞を決めていた(で、それが理由で今年の新人賞部門ノミネート資格から落ちたんですが)ロディ。今回の第63回グラミー賞では、この「The Box」が何とソング・オブ・ジ・イヤーでノミネートされているほか(本人も本名のロドリック・ムーア名義で共作者になってますので受賞可)、最優秀メロディック・ラップ・パフォーマンス部門(去年までのラップ/歌唱パフォーマンス部門です)と最優秀ラップ・ソング部門に堂々3部門ノミネート。彼はそれ以外にも、年間5位(予想6位)だったダベイビーの「Rockstar」にフィーチャーされて、かつ共作者にもクレジットされているので、そちらがレコード・オブ・ジ・イヤーと、「The Box」同様最優秀メロディック・ラップと最優秀ラップ・ソングにノミネートされているという凄い状況。どう転んでもどっかで複数受賞しそうなロディ・リッチ、完全にヒップホップ界の実力派大型新人としての存在感を十二分に発揮した一年でした。
で、その「The Box」の上を行く2曲、まず第2位はこれでした。
2. (BB2位)Circles ▲4 – Post Malone
(Hot 100 – 49週、Top 40 – 49週、Top 10 – 27週、Top 5 – 19週/2019.11.30-12.7 & 2020.1.11付 3週1位)
年間2位も見事予想的中。これで4位からずっと予想的中しているな。そしてこの「Circles」は個人的にも2020年のヒット曲の中ではかなり上位にランクされるほどお気に入りの曲でした。既にグラミー賞予想の記事の時にも散々書いたけど、今回のアルバム『Hollywood’s Bleeding』では、それまでの「ちょっと聴きやすいトラップ・アーティスト」から「トラップ風味を巧みに消化した、良質のメインストリームポップシンガー」に大きく軸足をシフトしたポスティの、その中でも象徴的といえるナンバーでしたから。
相変わらずPVの趣味はイマイチなんだけど(笑)、「Sunflower」あたりから如実に楽曲のクオリティも上がって来ていて、ある意味この曲は今のポスティの作品としては頂点に近いんじゃないかな。その1位3週の「Circles」(UKでは最高位3位)が1位11週の「The Box」を押さえた最大の理由が、この曲、11月末の年間チャート対象期間終了の1週間前までは、トップ10内39週というHot 100歴代最長記録を打ち立てていたこと。残念ながらチャートインが年間チャート集計期間前の2019年9月なので、最初の12週間(すべてトップ10内、含む1位1週)が頭切りされてるのと、実はその上をいくヒットが土壇場で登場したので、年間2位に甘んじています。もし全てのチャートランが年間チャート集計期間に収まっていたら、ひょっとするとこの「Circles」が年間1位の目も充分あったと思いますね。
そしてこの曲、当然のごとく今回の第63回グラミー賞ではレコード・オブ・ジ・イヤーとソング・オブ・ジ・イヤーに何とダブルノミネートされている上、アルバム『Hollywood’s Bleeding』も最優秀アルバム部門ノミネートと、主要4部門中3部門にどっしりその存在感を見せています。ラップ部門には逆に一切登場していないというのも、彼の今回の軸足シフトの結果をアカデミーメンバーがちゃんと受け止めているように見えます。いずれの部門も厳しいんだけど、どこかで一つくらい取って欲しいなあ、と個人的には大いに応援してます。
さて、いよいよ注目の年間チャート1位予想、先に言っちゃいますとこちらも見事予想的中、これで1位〜4位まではズバリ的中で5位と6位が入れ替わりで、7位的中ですから、ほぼ1位〜7位は大当たりだったなあ、というのが今年の予想の自己評価でした。そしてビルボード誌の年間チャート発表でこの曲が1位だったのを見て「あれ?」と思ったトップ40ファンは多かったかも。その年間1位はこの曲でした。
1. Blinding Lights ▲ – The Weeknd
(Hot 100 – 51週、Top 40 – 47週、Top 10 – 40週、Top 5 – 33週/2020.4.4-11 & 4.25-5.2付 4週1位)
はい、2位に続いて1位もPVの趣味があんまりよろしくない(笑)ザ・ウィークンドの「Blinding Lights」でした。80年代エレクトロ・ダンスR&Bの意匠をまといながら、大きなスケールのソングライティングで独自の世界を醸し出したこの楽曲、チャート的には1位は4週でしたが、Hot 100内51週とほとんど1年に亘ってチャートインし、しかも11月の最後の週で、それまでポスティの「Circles」が今年樹立していたトップ10内最長記録を破って年間チャート集計期間を終了するという、まるで第4コーナーから脅威の末脚でゴール前1メーターで鼻の差で優勝する、みたいなそんな雰囲気の勝ち方をした曲だったんです(ちなみにトップ10内最長記録は最終41週まで伸ばしました)。
まだあります。今回この曲が樹立した歴代最長記録はもう一つあって、トップ5内33週というやつ。これ、それまでの記録だったチェインスモーカーズの「Closer」とエド・シーランの「Shape Of You」の27週を大きく抜き去ったぶっちぎりの記録でした。せっかくなので、ここで歴代トップ5最長ランキングを見てみましょう。
1.(33週)Blinding Lights ▲ – The Weeknd (2020年、4週1位)
2.(27週)Closer ▲12 – The Chainsmokers Featuring Halsey(2016年、12週1位)
2.(27週)Shape Of You ▲10 – Ed Sheeran(2017年、12週1位)
4.(26週)Circles ▲4 – Post Malone(2019-20年、3週1位)
5.(25週)Uptown Funk! ▲11 – Mark Ronson Featuring Bruno Mars(2015年、14週1位)
5.(25週)How Do I Live ▲3 – LeAnn Rimes(1997-98年、4週2位)
7.(24週)Girls Like You ▲8 – Maroon 5 Featuring Cardi B(2018年、7週1位)
7.(24週)That’s What I Like ▲7 – Bruno Mars(2017年、1週1位)
9.(23週)Old Town Road ▲13 – Lil Nas X Featuring Billy Ray Cyrus(2019年、19週1位)
9.(23週)Despacito ▲13 – Luis Fonsi & Daddy Yankee Featuring Justin Bieber(2017年、16週1位)
9.(23週)Without Me ▲7 – Halsey(2019年、2週1位)
いやいや、いずれ劣らぬ重厚長大大ヒットが並んでますね。中でも何気にソロとフィーチャリング両方で2曲エントリーしているブルーノ・マーズとホルジーが渋く光ってます。そして「Blinding Lights」もつまりは、1週の週数は短かったけど(UKでは8週1位と頑張ってましたが)、こういうスケールのロング&ビッグ・ヒットだった、ということなのです。それにもかかわらず、です。先日のグラミー賞ノミネーション発表の記事でも大きく取り上げたように、今回のノミネーションでザ・ウィークンド、この曲だけでなく完全ボウズだったんです。あり得ないですよねえ。ちなみに上記のリストの中で、グラミーノミネート完全ボウズだったのは、このザ・ウィークンドの曲と、ホルジーの「Without Me」だけでした(ホルジーもグラミーにはガン無視され続けてるんで可哀想なんですが)。
ビルボード誌のR&Bソングチャートでは、今週もまだ通算38週目の1位を続けている「Blinding Lights」。いろんな意味で2020年を代表する曲としては充分だと思うのですが、皆さんはいかが思われますか?
ということで4回に亘ってお送りしてきた「2020年ビルボード誌Hot 100年間チャート予想(のはずだった)」シリーズ、いかがでしたか。2020年も残るところあと3日。いろんなことのあった本当に特異だった今年を振り返りながら、今年のヒット曲をもう一回振り返ってはいかがでしょうか。来る2021年が皆さんにとって明るい年になりますように!